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福利厚生から「事業力向上」のテレワークへ-JATA経営フォーラム

  • 2020年3月10日

新型コロナ拡大の今こそ推進すべき時
多様なツールで単なる在宅勤務から脱却

宮野氏  ジャルパックがわずか5年間で密度の濃い改革を行ってきたことについて、宮野氏は「活動のなかから浮かび上がる課題も見えてきており、その対処にも力を尽くしている」と語った。例えば各社員がフレキシブルに働くことで、マネジメントやコミュニケーションに不安が生じた場合には、導入したクラウドサービスのウェブ座席表やホワイトボードを活用して可視化に努めるという。また、新しい働き方やツールに戸惑いを感じる社員がいれば、セミナーやワークショップ、社内報などを通して、社員目線で情報などを提供し、活用を促しているとも伝えた。

 そのほか、同社の働き方改革ではワーケーションの推進にも注力し、そのことが商品開発にも生きていることをアピール。社員が帰省の際などにワーケーションを実施することで有給休暇取得率は向上し、ハワイでのワーケーション商品はIT企業の社員などを中心に好評を博していることなどを伝えた。

大規模投資は不要、安価なツールの組み合わせで

 分科会の後半では再び湯田氏が登壇し、テレワークに役立つツールの活用例を紹介した。湯田氏は会社のパソコンを外部から接続する方法については、以前はパソコンを社外に持ち出すことが一般的だったが、近年は遠隔操作技術の「リモートデスクトップ」により、その必要が無くなったことを説明。一例としてNTT テクノクロスの「Magic Connect」を挙げ、USBメモリを自分のパソコンに差し込むだけで、オフィスに居る時と同様に業務を実施できることを示した。データ流出やウイルス感染の心配はなく、料金も1ヶ月当たり1人1000円と安価で、ハードルは低いという。

 そのほかにはChatworkが提供するタスク管理機能なども備えたビジネスチャットツールの「Chatwork」、米国のZoom Video Communicationsが提供する無料のウェブ会議ツールの「Zoom」、テレワークマネジメントが提供する勤怠管理ツールの「F-Chair+(エフチェアプラス)」などを紹介。大がかりなシステム投資などが必要と思われがちなテレワークだが、湯田氏は「安価なツールの組み合わせで、ビジネスに必要な『報・連・相』のうち報告と連絡はリアルタイムに処理できる」と述べるとともに、「じっくり、しっかり取り組むのは相談だけで良い」と付け加えた。

 そのほか、テレワークを導入する際に現場や部門ごとで意見が異なり、衝突するような場合には、CIO(最高情報責任者)が戦略策定などに携わることで、トップダウンにより導入を進めることができると提案。CIOを任命できない場合でも、例えば東京都では湯田氏が責任者を務める東京テレワーク推進センターが、整備補助金を提供する「はじめてテレワーク」などの支援事業を実施していることを紹介した。なお、JATAはこのセミナーの終了後には、会員会社向けに無料コンサルティングの場も設けた。