【ホテル総支配人リレーインタビュー】第17回 ANAインターコンチネンタル別府リゾート&スパ総支配人 高良真理氏
コロナ禍を機にオペレーション体制を強化
世界一の温泉リゾートへ向けて前進中
高良 全国旅行割は始まったばかりで影響はまだ出ていませんが、年末年始はリピーターの予約が多く、長い滞在が多い傾向です。この3年間の成果がしっかり出ていると感じています。
高良 昨年は週末の需要が伸び平日は物足りなかったのですが、今年は小グループを中心に平日の需要を取り込むことができており、プライシングや1室当たりの収益も良くなってきています。
大分は他県に比べ感染拡大が緩やかで緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出が少なく、国内旅行客が数多く来訪しました。当ホテルも同様で多くのお客様にIHGブランドを知ってもらう機会になり、リピーターとして再訪してくれるお客様も増えています。
高良 年間平均で2泊を超えたいですね。コロナ禍前は別府の平均が1.28泊ですから困難な目標ではあります。それでも大分には多くのアクティビティとコンテンツがあるのでやり方はあるはずですが、問題はプロモーションの力が弱いことです。
ホテル単体ではできることが限られます。スパもプールも温泉も、美味しいレストランもあり、広くて快適な部屋もありますから、1度や2度なら3泊たっぷり楽しめますが、3度目、4度目となればやはり地域の協力が欠かせません。旅の思い出は、ホテルだけで作られるわけではなく、バスやタクシーの運転手さん、飲食店の店員さんのサービスやそこでの体験など、すべてによって作られています。宿泊客の満足感もホテル内だけでは完結させることは難しいのではないでしょうか。
高良 東京、大阪、京都はすぐに客足が戻るはずですが、大分は少し時間が必要でしょう。当面は福岡路線がある香港や韓国、シンガポールのお客様を見込んでいます。また路線はないもののオーストラリアからの問い合わせが多いので、ここも取っていきたいですね。
大分はアジアに強くヨーロッパに弱い傾向がありますが、逆に言えばチャンスがあります。IHGのブランドを活かしロイヤリティプログラム「IHG®ワンリワーズ」を通じたプロモーションを展開しているほか、ホテル単体としても富裕層向けの厳選された世界のラグジュアリーホテルメンバーシップ「Virtuso(ヴァーチュオソ)」に加盟しヨーロッパのラグジュアリー層の市場開拓に取り組んでいます。
高良 年間平均で海外30%、国内70%をまずは目標としています。国内客の需要は年末年始や夏休みなど旅行シーズンが固定しているので、それ以外の時期は海外需要の取り込みを図ります。
高良 国や文化によって旅に求める要素は違います。ヨーロッパの方々が求めるものをしっかり見極めたうえで、市場を開拓していきますが、観光とショッピングだけでは満足できない方々には、たとえばゴルフの魅力が強みになるかも知れません。大分はリーズナブルで便利なゴルフ場がたくさんあります。また当ホテルにはタイの有名スパブランド「HARNN」があり、スパ好きのお客様にはゆっくりスパやプールで寛ぐ滞在もお勧めできます。
海外のお客様だけでなく日本のお客様にも、長期間滞在してゆっくり過ごすリゾート文化を提案していくことができればと思います。私もそうですが、日本人は休暇の間も一生懸命に遊んでしまいます。そうではなく何もせずにゆったりと時間を使い、自分自身と向き合える時間を持ってもらいたい。それが自分の世界を作る手助けになるはずです。そのお手伝いをしたいと考えています。
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