若者海旅検討会が最終取りまとめ-「体験」訴求、旅行会社とモデル事業
▽旅行安全情報のプラットフォームを活用、大学に4学期制を提案
「官民・教育界が連携した国民的ムーブメントの醸成」では、観光庁や文部科学省などの関係省庁、日本旅行業協会(JATA)、旅行会社、経団連、有識者などからなる組織を設置し、官民連携で業界をまたいだ横断的な取り組みを展開するよう提言。観光庁によれば、組織の設立時期は現時点では未定という。
「モチベーションの向上・阻害要因の緩和・環境整備」のうち、モチベーションの向上では、観光庁と文部科学省に対し、海外旅行に誘われれば行く「受身的行動層」と、海外旅行に無関心の層に対し、海外旅行に積極的に行く層の海外体験を共有する場を設けるよう求めた。講演活動やソーシャルメディアなどによる情報発信に加え、観光庁には「国際観光シンポジウム」の実施を提案。経済界には採用活動の際に若者の海外体験を評価することや、企業の海外事務所をインターンシップに活用することを提案した。
阻害要因の緩和では、観光庁と旅行業界に対し、「旅行安全情報等に関する情報プラットフォーム」による現地の治安情報の配信や緊急時の安否確認の実施と、海外の有事が発生した際に、初期対応ができるセキュリティガイドの育成などを提言。加えて、旅行業界には旅券取得や航空券・宿泊施設の手配など、海外旅行の事前準備に関する情報をわかり易く一元化して提供することも求めている。
環境整備では、文部科学省や大学に対し、学生が海外体験しやすいように4学期制の導入、海外体験を大学の単位取得の対象として活用する取り組みと海外留学の促進を要望。文部科学省には海外協定校などとの大学間交流の推進・海外留学の推進を、観光庁と旅行業界には海外での修学旅行に反対する保護者の理解を得られるよう、海外教育旅行関係の安全状況の情報などの提供をそれぞれ求めた。このほか、観光庁などには若者の海外旅行に関するデータが不足していることから、継続的なデータ収集・分析を推進するよう要望した。