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訪日ハイエンド獲得のカギは専門性と口コミ、世界に遅れず国境再開をーKANAZAWA TOURS マイク・キーナン氏

  • 2022年4月20日

西洋的視点のガイドトレーニングで富裕層を囲い込む
訪日旅行者に「ポストコロナの旅行スタイル」はない?

-金沢近郊以外への拡大は検討されなかったのですか。

キーナン 徐々に大手の旅行会社やホールセラーが私たちに興味を持つようになり、2、3年のうちに、大手旅行会社から1日に複数回のツアーを受注するようになりました。ですが、私たちはいつも同じ品質を再現することを重視して、品質管理システムも導入しています。それが実現できているのは事業規模を拡大しなかったからです。日本全国を制覇しようとせず、金沢エリアだけで最善を尽くそうと決めた結果、この地で他の追随を許さない立ち位置を維持できていると考えています。

 ツアー以外に移動やホテルの手配も行います。ラグビーワールドカップ2019の際は、アイルランドのラグビーファン5000人を手配しました。それまでは限られたエリアと人数の手配を主としていたため苦労も多かったですが、非常に良い経験になり、物流から交通、ホテル、食事の手配まで幅広い知識を得ることができました。

-どの国からの旅行者の手配が多いでしょうか。

キーナン コロナ前は、アメリカ、イギリス、インドネシア、オーストラリア、シンガポール等が多かったです。インドネシアからは裕福な家族グループが多く訪れていました。大抵の場合、1人の男性に複数の家族女性という構成になり、男性がすべての決定を行うため、マネージングしやすいグループと言えます。

-旅行会社経由の予約と直接予約の割合は。

キーナン 9割が旅行会社経由、1割が直予約です。ただし直予約のお客様は、旅行会社経由のお客様よりもはるかに多くのお金を使います。自らリサーチして私たちのサービスにたどり着いた人たちは、「何を体験したいか」ということにより焦点を合わせているのです。そのため、オンライン上での口コミも非常に重要で、評価の高い口コミを維持し続けることにも注力しています。

-コロナ禍による影響について教えてください。

キーナン 完全に破壊されたと言っても過言ではありません。売上ベースでは95%ダウン。スタッフもビジネスパートナーも失うことになりました。今はそれからまだ何も起きていない状態で、チャレンジとは言えません。本当にチャレンジと言えるのは事態が動き始めてからです。観光産業を離れざるを得なかった人々に再び戻ってきてもらうのは大変なことです。ビジネスが再度動き始めたときには、必ず人材不足に悩まされることになるでしょう。

 私の経験から、恐らく日本のインバウンドは予想よりも遅い立ち上がりになると考えています。現在ヨーロッパの人々は、数時間のフライトで目的地に着く近場の旅行を求めています。10時間以上のフライトが必要で、何かあっても言葉が通じない旅行先ではありません。あくまで私の予測で、こればかりは様子を見てみるしかありませんが。

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