未開拓のインバウンド市場「ゴルフツーリズム」に商機――ゴルフ場と地域資源をつなぐ新たな観光モデルとは

  • 2026年4月22日

 訪日外国人旅行客の回復と拡大が続く中、旅行業界では「高付加価値化」や「テーマ性のある旅行」への関心が高まっている。その中で、まだ十分に開拓されていない分野として注目されるのが「ゴルフツーリズム」だ。

日本は2000を超えるゴルフ場を有する世界有数のゴルフ大国でありながら、インバウンド誘客の観点ではそのポテンシャルを十分に活かしきれていない。こうしたギャップに着目し、ゴルフ場と地域資源をつなぐことで新たな観光価値の創出に挑んでいるのが、株式会社ゴルフツーリズムジャパンである。

同社はゴルフを起点に宿泊・食・体験を組み合わせた旅行モデルを構築し、インバウンド市場の新たな切り口としてゴルフツーリズムの確立を目指す。今回は代表取締役の小嶋崇文氏に、事業の背景や市場の可能性、旅行業界との連携について話を聞いた。

■「ゴルフ×ホスピタリティ」で日本と世界をつなぐ

-まず、会社設立の経緯について教えてください。

小嶋 崇文 氏 (以下敬称略) 私はもともと「日本と世界の架け橋になりたい」という想いを持っていました。大学時代には国際文化比較研究とホスピタリティマネジメントを学び、その後、商社や外資系企業で経験を積んできました。

キャリアを見つめ直した際に、「ゴルフ」と「ホスピタリティ」を掛け合わせたゴルフツーリズムという領域に大きな可能性を感じました。ゴルフは生涯スポーツであると同時に、国籍を問わず人と人をつなぐ“共通言語”です。この特性を活かせば、日本と世界をつなぐ新しい価値を生み出せると考え、創業に至りました。

私たちの理念は「ゴルフツーリズムを通じて、日本と世界の豊かさを循環させる」ことです。将来的には、日本を世界のゴルフツーリストから選ばれる目的地にしたいと考えています。

日本には2000を超えるゴルフ場がありますが、これらはまだ十分に観光資源として活用されていません。ゴルフ場単体では存在していても、宿泊や移動、周辺の観光体験とつながっていないため、旅行として成立しづらいのが現状です。

つまり、コンテンツはあるのに、それが「つながっていない」。この構造的な課題を解決することが、私たちの事業の出発点です。

■ゴルフツーリズムは成長市場、鍵はインバウンド

-市場の現状についてはどのように見ていますか。

小嶋 世界のゴルフツーリズム市場は4〜5兆円規模とされ、年率5〜10%で成長しており、すぐに10兆円規模になると予測されています。私たちが所属するIAGTO(国際ゴルフツアーオペレーター協会)には、世界で700近くのゴルフツーリズム専門旅行会社が所属しており、年に3回、欧州・アジア・米国で大規模な商談会が開催されています。

一方、日本国内のゴルフ市場は縮小傾向にあります。ゴルフ人口の減少や高齢化により、ゴルフ場の経営は厳しさを増しています。この状況を打開するためには、インバウンドの取り込みが不可欠です。

-日本のゴルフツーリズムの課題はどこにあるのでしょうか。

小嶋 大きくは「情報」と「アクセス」です。海外のゴルファーは、日本でゴルフができること自体を知らないケースが多い。また、予約方法や移動手段も分かりにくく、心理的なハードルが高いのが現状です。

さらに、言語や文化の違い、会員制文化などもあり、ゴルフ場側も受け入れに慎重になっているケースが多いと感じています。