8月の宿泊業の倒産は8件、新型コロナ感染拡大の20年をピークに減少傾向-TSR調査

  • 2022年9月9日

 東京商工リサーチ(TSR)によると、8月の宿泊業は5カ月ぶりに前年同月を下回り8件だった。2022年1月~8月の累計件数は59件で新型コロナの感染が拡大した2020年の同期(83件)をピークに減少傾向にある。

 負債総額は前年同月比44.8%減の41億5000万円で3ヵ月ぶりに前年同月を下回った。原因別では販売不振が6件、形態別では8件すべてが破産だった。

 辻のやと関連会社の粟津観光金閣は2社合計で12億1028万円の負債で金沢地裁小松支部から破産開始決定を受けた。辻のやは、1956年10月創業で温泉旅館「辻のや花乃庄」を経営。バブル期には15億円超の売上高をあげていた。その後景気後退や競争激化などから客足の減少に歯止めがかからず、2018年4月期には売上高が約5億円まで落ち込んでいた。2020年4月以降は新型コロナの影響によるキャンセルが相次ぎ、同年6月末にはパートを含む約50人を解雇していた。

 関連の粟津観光金閣は「露天のゆ金閣」を経営。2017年9月期には2億4000万円の売上高をあげていたが、従来からの低採算が続いていたため2018年以降は休館していた。

 松屋は1966年創業で小松市の阿納海水浴場で旅館を経営。2008年12月期には売上高1億1000万円をあげていたが、2018年12月期には6500万円まで落ち込んでいた。新型コロナ感染拡大により先行きの見通しが立たず2020年4月に事業を停止。負債総額は1億2826万円で福井地裁敦賀支部から破産開始決定を受けた。

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