トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏(前)
2013年は2000万人への足がかり
「価値創造元年」に
-ご就任から半年が経過しますが、JATAの役割についてどのようにお考えでしょうか
菊間 簡単にいえば、旅行業をどうやって元気な旅行業にしていくかだ。旅行業界全体の地位向上もよくいわれるが、何をもって地位の向上とするか、プレゼンスをどうやって確立していくかは課題になる。
また、JATAとしては、経営基盤の安定化と経営体質の強化をどうはかるかという問題がある。経営基盤の安定化は、航空政策など周りの環境をどう整備するかということだ。経営体質については、旅行産業が低収益構造などといわれて久しい中で、経常利益であるとかそういうものを、いかに他産業と同じレベルに持っていくかが課題となる。
「経営体質は各社マターだ」といってしまって良いのか。そうではなくて、もう少しJATAとして各社の経営体質改善をお手伝いできる部分はしていった方が良い。そういうものに着手していきたい。
-2013年の見通しについてお考えをお聞かせください
菊間 2013年は旅行業界にとって鍵となる年だ。今後も領土問題は存在し続ける中で、その影響を受けてまた落ち込むのかどうか、我々として勝負どころだ。開発力が問われる。
海外旅行の中で、東アジアへの需要が出国者数の半数以上を占めているが、領土問題など国家間の問題が発生すると一気に市場環境が悪化してしまう。危機管理の面からも安定した需要を作っていかなければならない。
ヨーロッパなどのデスティネーションがもっと強くなれば、経営体質の改善にもつながる。他業界でもいわれるChinaプラスASEANのように東南アジアや国内旅行の深掘りも検討するし、商品力によって他の新しいデスティネーションを開発する、ある意味ではチャンスの年だ。
これまでも「価値創造元年」という話をしてきたが、旅行会社自身が市場に引っ張られて代理店的に、受け皿的に事業を展開する状況から、我々が市場やトレンドを作っていく形にシフトしていかなければならない。そうしなければ、旅行会社の存在意義が薄れていってしまうのではないか。
会員各社は業態も様々で十社十色だが、それぞれの分野の中で旅行会社ならではの価値創造的な取り組みを進めなければ難しい年になる。各社ともそれに必死に取り組むはずで、それをJATAがどれだけ応援できるかだ。