韓国の「今」を駐在員の視点から-再びの規制強化、海外旅行再開も先送りに

  • 2022年1月17日

 韓国政府は「ウィズコロナ戦略」に方針を転換、規制の緩和を進めていましたが、10月下旬から増加傾向をみせていた新規感染者数は12月中旬には1日7000人台まで増加し、全国の防疫規定は12月20日より再度規制が強化されました。昨年9月より徐々に再開され始めた旅行会社による海外パッケージ旅行も、再び中止に追い込まれています。

 オミクロン株は韓国国内においても他国と同様に急速に拡散しており、2ヶ月後には主要感染株になるものとの防疫専門家の意見を踏まえ、政府の対策がまもなく発表されることになっています。コロナ後を見据えた動きが活発になり明るい兆しが見え始めた矢先に訪れた第5波、そしてオミクロン株の全世界における急拡大により、再び暗雲が漂いはじめた韓国、ソウルよりレポートします。

明洞(ミョンドン)メイン通り。韓国を訪れる外国人観光客が皆無のため、外国人観光客の多かった明洞は大きな影響を受けています。休廃業する店舗が全体の半数を超え、平日昼間でも閑散としています。

韓国における感染状況

 新型コロナウイルスの感染者数は、10月下旬から徐々に増加して第5波を形成、12月15日には過去最高となる1日あたり7622人の新規感染者数を記録しました。韓国政府は11月より実施されていた「ウィズコロナ戦略」の軌道修正し、12月18日より再び私的な集まりの人数制限、飲食店などの営業時間の短縮、行事・集会の人数制限等の規制強化策を実施しました。規制の強化とほぼ同時期の12月中旬より新規感染者数ははっきりとした減少傾向に転じ、1月9日現在1日の新規感染者数は3000人前後となっています。

 1月2日から8日のオミクロン株検出率は12.5%となっていますが、これから他国と同様に韓国国内でもオミクロン株が早い伝播力で1ヶ月から2ヶ月以内に優勢株になると予測され、再度新規感染者数は増加に転じることが強く懸念されています。

 政府は、今月末から来月初旬までの旧正月連休がオミクロン株の優勢株化如何を予測する時期とし、早ければ1月15日頃にオミクロン株対応策を発表するとしています。多くの人々が移動する旧正月には、全国各地への更なる感染拡大が懸念されています。

ワクチンの接種状況

 韓国内における2回のワクチンの接種完了者は、10月末には人口の70%を超え、1月現在では人口の90%近くとなっています。

 ブースターショットは、2回目の接種から3ヶ月以上経過した致命率の高い高齢60歳以上・高齢者療護施設及び従事者から始まり、徐々に年齢層は下がり現在は40%が完了しています。4回目の接種についての政府筋の見解はまだ出ていません。

感染及びワクチン接種統計(2022年1月10日現在)CoronaBoard

感染者死者重傷者致命率1回接種完了2回接種完了3回接種完了
66万7390人6071人786人0.96%4435万9506人4019万0450人2103万1481人

業種別規制内容

業種規制緩和内容
交通マスク着用義務
学校登校許可(学校長の判断)、換気徹底
企業通勤ではあるが一部企業では在宅奨励
レストラン21時まで、入店時記入(入店時間・携帯番号・QRコード)
スポーツ観戦全面無観客競技
宗教活動70% → 未接種者を含む場合30%
クラブ・カラオケクラブ:集合禁止 カラオケ:22時まで

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