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公認会計士が教える会計知識vol.10 中小企業は今これを使え! 節税の種類とメリット・デメリット

  • 2022年1月12日

中小企業が今使える税額控除ベスト3

 ここでは、中小企業の法人が利用可能な税額控除についてご紹介します。文中に出てくる用語を解説しますと、税額控除とは投資金額×○%分の節税が可能という制度をいいます。特別償却とは、投資金額×○%を当期の費用に計上し節税ができる制度をいいます。

 1)DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制(令和4年度末まで)

認定要件デジタル要件①データ連携・共有
②クラウド技術の活用
③「DX認定」の取得
企業変革要件①全社の意思決定に基づくものであること(取締役会決議文書など)
②一定以上の生産性向上が見込まれること等
対象設備ソフトウェア
繰延資産(クラウドシステムへの移行にかかる初期費用をいう)
器具備品(ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)
機械装置(ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)
措置内容税額控除3%又は30%
※グループ外の他法人ともデータ連携・共有する場合は税額控除5%
投資額の上限と下限売上高比0.1%~300億円

 2)人材確保等促進税制(令和4年度末まで)

通常要件新規雇用者(新卒・中途)給与等支給額が前年度より2%以上増加
措置内容新規雇用者給与等支給額(※)の15%を税額控除 ※雇用者給与等支給額の増加額が上限
上乗せ要件教育訓練費が前年度より20%以上増加
措置内容控除率を5%上乗せ、20%に

 3)カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(令和5年度末まで)

対象措置内容
温室効果ガス削減が大きく、新たな需要の拡大に寄与することが見込まれる製品の生産に専ら使用される設備
※対象設備は、機械装置
税額控除10%又は特別償却50%
事業所等の炭素生産性を相当程度向上させる計画に必要となる設備
※対象設備は、機械装置、器具備品、建物付属設備、構築物。導入により事業所の炭素生産性が1%工場。
3年以内に10%以上向上
⇒税額控除10%又は特別償却50%

3年以内に7%向上
⇒税額控除5%又は特別償却50%

 なお、税額控除は毎年変更があり、適用期限が制度によって異なりますのでご注意ください。

さいごに~日本で税金を払わないことは可能なのか

 多くの方は税金を払いたくないと思っているのではないでしょうか。私は、払わずして済むならば払いたくありません。しかし、日本の税法の下では、利益が出た上で税金を払わないというのは全くもって無理だ、ということを会計や税金に触れていてわかりました。

 そのため、「税金を払いたくない」というのは正直無理だと思っていまして、仲の良い方々には「税金を払いたくなければ日本以外で開業してください」とお伝えしています。それくらい無理だと思っています。

 税金を払うことは必須と考えた場合、どのように税金と向き合うことがよいかを考えてみました。私の中で行き着く答えは、「計画性をもった事業運営」という言葉だと思っています。税金は発生するもの、そう捉えると、そのあと考えなければいけない点は、財務計画、すなわちキャッシュと入りと出のタイミングとその金額をしっかりと把握しておくことではないでしょうか。

 次回は、事業計画の考え方/立て方に触れてみたいと考えています。

渡邊勇教
公認会計士。邊勇教公認会計士・税理士事務所、ゼロベース代表
北海道帯広市出身。立命館大学卒業後、監査法人トーマツに入所。2011年に公認会計士登録。その後、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所(かぜよみ会計事務所)設立。2018年に業務改善や財務コンサルティング、他士業との連携サービスを提供するゼロベースを設立。また、渡邊勇教公認会計士・税理士事務所の代表しても法人・個人の各種確定申告などもおこなっている。