公認会計士が教える会計知識vol.10 中小企業は今これを使え! 節税の種類とメリット・デメリット
支出を伴う節税のメリット・デメリット
支出を伴う節税は、イメージとしては1000万円を支出することで、税金が350万円減る、もしくは将来へ繰り延べられているということになります。そのメリットは、「税金の削減」にあります。また、課税の繰延(支出を伴い、税金を将来に繰り越す)の場合は、キャッシュを外部に支出はするものの、将来の一時点でそのキャッシュが会社に戻ってきます。例えば法人保険の場合、満期になり返戻される場合がそれにあたります。会計上(もしくは税務上)、一時点で戻ってきたキャッシュは、雑収入等の収益項目として会計処理され、この時点で税金が課税されることになります。
これは余談ですが、将来の法人税の税率が今よりも下がっている場合、その税率差異は、支出を伴わない節税と考えることもできますが、現在の税を取り巻くトレンドからして税率が下がることは考えにくいような気がしています。
一方、支出を伴う節税のデメリットは、節税以上に支出を伴う点にあります。前述したイメージのように、1000万円の支出により税金が350万円減るもしくは将来へ繰り延べられる、ということになります。納税が仮に5月末の場合、3月末には1000万円の支出が必要です。節税をせずに350万円の納税をすれば現金支出が650万円少なくて済んだ、ということになります。
支出を伴わない節税とそのメリット
支出を伴わない節税とは、「税額控除」を言います。税額控除とは、法人税法や租税特別措置法などの法律上認められている節税テクニックをいいます。租税特別措置法は、その時代のトレンドを組んでいることが多く、例えば「設備投資を加速させたい」といったトレンドがある場合、「設備投資を増やした場合に節税策を儲けよう」となるわけです。
支出を伴わない節税の最大のメリットは、支出を伴わない点にあります。支出を伴う節税の場合は、対策を講じなかった場合に発生する納税以上に支出を伴います。それがありません。そのため、税額控除が利用可能な場合、必ず利用することをお勧めしています。
会社で活用可能な税額控除があるかどうかは、顧問税理士の方が把握されていますので、一度確認をされてみるのがよいでしょう。
次ページ >>> 中小企業が今使える税額控除ベスト3