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顧客はクリスチャン-大阪・イスラエル専門旅行会社の新たな一手

第1種取得で受注型企画旅行に専念
てるみくらぶ問題が遠因に

-第1種に変更した理由は、募集型企画旅行を始めるためではなかったのですね

石田氏 石田 HTCを始めた頃と現在では、行政による第3種の取扱範囲の解釈が変わってきたことが大きいです。もともと受注型と募集型の境界にはある程度曖昧な部分がありましたが、個人的には17年にてるみくらぶ問題があってから、線引きがシビアになったと感じています。例えば「社員旅行や自治会の親睦旅行など、日常的に顔を合わせている人たちのツアーは受注型として良いが、それ以外は不可」という風に厳しくなりました。

 では、クリスチャンによる視察旅行はどうなのかというと、やはり第3種には収めにくくなっています。私たちからすれば毎週日曜日、もしくは日常的に教会で顔を合わせている兄弟姉妹のような関係で、会社の同僚などよりも結びつきは強いと思うのですが。また、1つの教会だけでは人数が集まらず、複数の教会で集めなくてはいけない場合も「そのためには“募集”告知が必要ですよね?」と指摘されてしまいます。

 そのような状況で現在のツアーを続けることには限界があります。しかし幸いなことに、家族はHTCを応援してくれ、「それなら第1種を取り、誰にも何も言われない環境でツアーを続けよう」という結論に致りました。供託金の額は上がりましたが、JATAに入会すればある程度は減額されますし、JATAから提供される資料や情報には価値があります。そもそも供託金は利子の無い預金のようなものなので、HTCを続けるのなら一種の投資と考えられます。一般的な募集型企画旅行には、全く興味はありません。

-情勢が不安定なイスラエルだけを扱い続けることに不安はありませんか

石田 JTBにいた頃にも、外務省の危険レベルが上がってツアーを催行できなくなったことが何度かありますが、基本的には600万人が平和に暮らす、安全に旅行できる国です。観光客が襲われた事件は、長い間ありません。ツアーの参加者は家族から「危ない」と言われることもあるようですが、帰国後には大抵「また行きたい」と言っていただけます。

-今後の事業拡大のための投資はしていますか

石田 2012年、15年、18年に牧師向けの優待ツアーを実施し、それぞれ100人ほどが参加しました。必ずしも裕福とは言えない牧師も多いので、現地の協力のもと、まずはイスラエルを訪れてもらい、将来のツアーの団長になっていただくことがねらいです。

-今年で77歳と伺いましたが、事業はどのように承継するつもりですか

石田 孫が継いでくれます。今年の春に大学を卒業した後、2年ほどイスラエルに留学し、帰国したら旅行業務取扱管理者の資格を取ると言っています。海外育ちのバイリンガルで、イスラエルにも何度か行っています。「今のビジネスだけで食べていけるかは分からないよ」と言い聞かせてはいますが、充分に理解した上で決めたようです。第1種への変更には、孫の代のために環境を整えておく意味もありました。

 パンフレットで参加者を集めるような募集型企画旅行は今後も取り扱わないと思います。ただ、今は航空券などの予約はパソコンでできる時代なので、ダイナミックパッケージのように航空券とランド部分だけを販売することなどはあるかもしれません。

 孫には、HTCの宝物であるお客様や人脈をうまく受け継いだ上で、若者らしく時代に即した事業を展開してもらいたいと思います。イスラエルはIT先進国でもあるので、将来的には企業視察ツアーなど新たな道が開ける可能性もあります。また、イスラエルから日本への旅行者も増えているので、今後は色々と取り組めることがあるのではないでしょうか。

-ありがとうございました