出国税、しくじらない旅行者への説明方法は-JATAに聞く

会員企業向けに2つの説明文案
現場の負担を最小化するには

▽当初は混乱の可能性、ただし自腹は許されず

權田氏 權田氏は「熟慮を重ねた」という2つの案のうち、案1については「政府の説明をそのまま流用できるが、販売の現場や空港は混乱するかもしれない」と説明。発券が1月6日以前であるにもかかわらず、税を徴収してしまうなどして「1ヶ月程度は空港での返金などの作業が発生する可能性が高い。旅行会社としては避けたいこと」と懸念した。あわせて「誤徴収してしまった場合は帰国後にでも何とか返金することが可能だが、参加者が空港で集合しないツアーなどで徴収漏れが発生した場合はまず難しいだろう」との見方を示す。

 一方、各社が独自に定めた期日以降に出発する旅行者から出国税を徴収する案2については「販売の現場の混乱を軽減するには有効で、大手では採用するところが多いと聞いている」と伝えた。權田氏によれば、案1を採用するのは法人などを顧客とするBtoBの旅行会社が多く、BtoB・BtoCを問わず手掛ける大手旅行会社では少数にとどまる見込み。

 權田氏は案2については、業務の繁忙や座席の確保難などから発券が遅れ、出国税の徴収漏れが発生するケースが考えられることから「旅行会社が徴収すべき出国税を徴収せず、現場の『営業判断』で安易に自腹を切ったりすることがないよう、1月6日以前の発券に向けたスタッフへの指導を進めてほしい」「支払うべき人がそれぞれ支払う、本来の税の趣旨からすれば勝手な立て替えは容認されない」と強調した。注意すべき点として最後に「1月7日以降に発券したお客様から徴収できるように準備してください」と明記したのは、そのような考えに基づくという。

 航空券を1月6日以前に発券し、徴収した出国税を着服する悪徳旅行会社が現れる可能性については、同じく発券日に基づき徴収額が決まる燃油サーチャージの方が影響が大きいことなどについて説明した上で「(1人1000円で)儲かると考える旅行会社はいないと思うし、そんなことをするような旅行会社は今の時代ではやっていけない」と否定。ただし「ごく僅かながら、一部の旅行会社からは"低レベル"な質問も聞かれる」という状況を踏まえて、文末には敢えて2つ目の注意点として「1月6日以前に発券した場合は徴収することはできません」と示したことを説明した。

 なお、BtoB専門の旅行会社については、旅行者への説明の負担こそBtoCの旅行会社と比べて軽微となるが、各社の精算システムに新たな税項目を追加する作業やコストなどは発生する。權田氏は、作業に必要となる国際航空運送協会(IATA)のTAXコードが決定していない(取材時。後に「TK」に決定)ことなどについて述べた上で、準備を急ぐ旅行会社の負担となっている可能性を指摘した。

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