民泊検討会が報告書とりまとめ、今年度中に法案提出

  • 2016年6月20日

▽仲介事業者に規制、旅館業法の改正案も

 仲介事業者に対する規制では、行政庁への登録や取引条件の説明義務、新たな枠組みに基づく民泊であることをウェブサイト上に明記することを義務付ける。また、行政庁が仲介業者から報告を求めることや、仲介業者への立入検査を可能にするとともに、違法な民泊サービスのウェブサイトからの削除命令、違法な民泊であることを知りなからウェブサイトに掲載している場合の業務停止命令や登録取消などの処分、法令違反に対する罰則を設けるべきとした。外国法人に対する取り締まりについては、実効性を確保するため、法令違反をおこなった事業者などの名称や違反行為の内容などを公表できるよう検討することも求めた。

 「一定の要件」については「制度の活用がはかられるよう、実効性の確保にも考慮しつつ、年間提供日数上限による制限を設けることを基本」とし、「半年未満(180日以下)の範囲内で適切な日数を設定する」と明記するに留めた。事務局によれば、具体的な日数については、想定されるケースに細かく分類して整理する考え。既存のホテルや旅館との競争条件にも考慮して検討する。住居専用地域での民泊サービスについては、「一定の要件」の設定を前提条件に可能とするが、地域の実情に応じて、条例などにより実施不可にもできるとした。

 制度設計の具体化については、規制の実効性を担保できるよう、必要な措置をさらに検討すべきであることを明記。法制上の措置に加えてガイドラインを設けて対応することも検討する。報告書案では、住宅提供者に損害保険への加入を促すガイドラインの設置が例示された。このほか、民泊に関する届出や登録方法について、インターネットを利用することを基本とし、マイナンバーや法人番号を活用し、住民票などの添付を不要とすることも検討することを明記した。

 また、ホテルや旅館に対する規制の見直しについても提案。「民泊に対する規制の内容・程度との均衡も踏まえ、早急に検討すべき」とした。具体的には、旅館業法で、今まで分かれていた旅館とホテルの営業許可の一本化や、宿泊拒否の制限規定について、差別的な取り扱いがないよう留意しつつ、合理的な内容になるよう見直すことが挙がった。旅館業法に基づく営業許可を受けていない「無許可営業者」に対する罰則の強化や、立入調査権限の整備、旅館業法で営業を許可する際、賃貸借契約や共同住宅の管理規約に反していないことを確認できるような措置の検討も指摘された。

 今後は最終報告書をもとに、厚生労働省や国土交通省が内閣法制局や与党などと調整の上、民泊に関する新法案と旅館業法の改正案を作成。今年度中の国会提出をめざすとともに、民泊の実態の把握にも努めていく。参加者からは、「新法の整備を待たずに違法な民泊を仲介業者のウェブサイトから削除できるようにするなど、取り締まりを強化できないか」などの意見も挙がった。

 観光庁によれば、今年の4月には厚生労働省と観光庁が連名で、海外の民泊仲介業者7社に対し、旅館業法の遵守の徹底などを要請したところ。今後も同様の取り組みを継続するとともに、新しい法制度について、民泊仲介業者に対し周知徹底をはかるという。加えて、旅館業法の許可を取得せずに民泊サービスを提供しているホストなどの取り締まりも強化したい考えで、具体的な取り締まり方法などについて、関係省庁と今後検討を進めていくとした。