民泊検討会が報告書とりまとめ、今年度中に法案提出
観光庁と厚生労働省は6月20日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第13回会合を開催した。事務局はこれまでの議論を踏まえて、制度設計のあり方に関する最終報告案を提出。構成員から特段の異論はなく、座長一任で了承された。事務局は構成員からの意見をもとに若干の修正を加え、早ければ数日内に報告書として公開する予定。法案提出は今年度中を見込む。
報告書は、同会が3月に取りまとめた中間整理の内容や、政府がこのほど閣議決定した「規制改革会議実施計画」などを踏まえて、議論の内容を取りまとめたもの。具体的な制度設計のあり方については、民泊サービスを「住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置づけ、住宅を1日単位で利用者に利用させるもの」と定義。同サービスは年間提供日数の上限など「一定の要件」の範囲内で有償かつ反復継続するものであり、一定の要件を超えて実施されるものは、旅館業法に基づく営業許可が必要とした。
制度については「家主居住型(ホームステイ)」と「家主不在型」に分類。既存の旅館業法や旅行業法とは異なる新しい法制度を整備して規制する。行政が実態を把握するため、すべての住宅提供者は民泊を実施する際は行政庁に届け出る必要があるとした。届出や登録を所管する行政庁は、国土交通省と厚生労働省の2省による共管とし、地方では関係部局間が連携して取り組む。地方自治体の負担軽減などの理由から、民間への事業委託も積極的に検討していく。
家主居住型については、住宅提供者が住宅内に居住した状態で住宅の一部を利用者に提供するものとし、原則として住民票がある住宅が条件。家主不在型は、住宅提供者が出張や長期休暇などで不在の期間中に住宅を貸し出すケースを含み、住宅提供者が管理者に管理を委託する必要があるとした。管理者は行政庁に登録する必要がある。登録の要件や方法については今後検討していく。
新制度では、住宅提供者と管理者に対し、利用者名簿の作成と備え付け、最低限の衛生管理、簡易宿所営業と同様の面積基準である宿泊者1人あたり3.3平方メートル以上の基準の遵守、利用者に対する注意事項の説明、住宅の見やすい場所に民泊を実施している旨がわかる標識の掲示、苦情対応などを義務付ける。さらに、住宅に関する法令や契約、管理規約に違反していないことの確認や、行政庁に登録されていない仲介事業者の利用禁止を求めるべきとした。
また、法令違反の疑いがある場合や感染症の発生時など、必要と認められる場合は行政庁が報告を求めることや立入検査をできるようにする。住宅提供者や管理者がおこなうべき義務を怠った場合や、一定の要件に違反した民泊や無届の民泊などの「違法な民泊」については、業務停止命令などの処分や法令違反に対する罰則などを設けることを検討すべきと明示した。
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