活気づく海旅市場、LCCで結果FIT増、新たな動きも-エイビーロード調査

  • 2012年7月17日

5万未満の価格帯が大幅に増加
ツアー減少、LCC就航地はFIT増加が顕著

 旅行費用は平均15.2万円で前年よりも2.4万円減少。ただし、現地費用は19.1万円となり、4.5万円増加している。これについて稲垣氏は、「ホテル代を現地費用として回答しているケースもある」と説明した。ただし、今年から費用の聞き方を前年から変更したため、前年数値は参考値としている。

 従来、旅行費用の価格帯で最も多いのは「5万~10万円未満」で、市場の4分の1を占める。今年の変化としては「5万円未満」が17.1%と7.5ポイントもシェアを伸ばした。稲垣氏は「昨年は韓国旅行が増えた。4人に1人が韓国旅行に行ったと答えている」と説明。方面別のパッケージツアー費用を見ても、韓国は「5万円未満」が41.9%、「5万円~10万円未満」が49.4%となり、10万円未満が9割以上。平均では5.7万円と最も低い。

 ツアーの利用率は59.2%で、2.7ポイント減少。観光やアクティビティがほとんど組み込まれたツアーは20.5%と微増したものの、一部の自由時間があったり、完全フリースタイルのツアーはそれぞれ減少している。ツアー比率の低いデスティネーションで注目したいのは、5位のマレーシアで、利用率は前年よりも13.4ポイント減の35.3%となった。稲垣氏は「LCCが就航すると直販で安いチケットを買う人が増え、旅行者の趣向に関係なく必然的にFITになる」と指摘する。


 さらに、利用航空会社上位20位のジェットスター航空(JQ)を筆頭に、30位にチェジュ航空(7C)、35位にジェットスター・アジア(3K)、38位にエアプサン(BX)とエアアジアX(D7)、とLCCが過去最高の5社がランクインした。稲垣氏は、「ツアーかFITかは買った結果。消費者が(旅行形態を)選んでいるのではない」とし、「旅慣れるとFITになるイメージがあるが、旅慣れるとツアーもFITも選べると捉える方が良い。逆に、LCCの就航地では初心者もFITということがありえる」と、ツアーとFITで旅行者像をくくることについて注意を促した。

 なお、昨年が羽田空港国際化の実質の初年度といえるが、関東居住者の利用空港は、成田が79.2%、羽田が35.4%だった。羽田の利用率を成田と比較すると約45%で、稲垣氏は「半分は羽田から海外に出ているのでは」と話す。ツアーの選択については、「羽田空港発を選ぶ」「どちらかといえば羽田空港発を選ぶ」との回答は58.2%となっており、価格差の許容範囲は平均7841円。69.8%は5000円高くても羽田発ツアーを選ぶ結果となった。

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注:各ページの表の出典は「エイビーロード海外旅行調査2012」「エイビーロード海外旅行調査2011」