活気づく海旅市場、LCCで結果FIT増、新たな動きも-エイビーロード調査
申し込みは早期化、情報源はネット伸張
旅行目的は食事が1位、円高が活性化に一役
旅行の検討・申し込みだが、一昨年からわずかに早期化の傾向が見てとれる。検討開始時期は3.1ヶ月前、申し込み時期は2.4ヶ月前となり、それぞれ0.3ヶ月前倒しとなった。海外旅行のリピーターでFITほど時期は早くなっており、これについて稲垣氏は「旅行慣れしている人のシェアが高まり、そういう人が早く動いた結果」と見る。
また、比較検討の情報源だが、インターネットが80.3%と1位。2位の旅行会社のパンフレットは31.3%で、昨年より5.5ポイントも下落した。稲垣氏は「パンフレットが減ってインターネットは横ばいということは、双方の併用率が下がったということ。これまでは補完関係にあったが、そろそろネットだけになってきた」と推察する。また、スマートフォンが2.8ポイント増の4.4%と小さいながらもシェアを広げており、「注目する価値ある。エイビーロードのサイトでも、昨年から増え始めている」と指摘する。
旅行を決めた情報源はインターネットが46.9%(昨年44.0%)とシェアを広げ、旅行会社のパンフレットは25.1%(昨年26.6%)で2位。3位の旅行会社のカウンターは9.0%(昨年8.6%)で、この3年間ほとんど変化がない。5位の新聞広告は4.0%(昨年5.0%)と減少した。航空券の情報源は、83.9%がインターネットでネット化が進行。これは居住地域関係なく、いずれも8割を超えている。
旅行の目的では、初めて「名所・旧跡」を抜き、「おいしいものを食べる」が1位となった。実は国内旅行のじゃらんの調査でも「温泉」を抜いて「おいしいものを食べる」が1位となっており、「食べ物を目的とした旅行が日本人に増えている」と稲垣氏は指摘する。
また、昨年のトピックとして円高が欠かせないが、円高が海外旅行のきっかけとなったと回答したのは22.9%だった。最後の海外旅行時期も、震災後から6月は前年を下回っているが、為替レートが1ドル80円を切った7月からほぼ前年並みとなり、8月には前年を超過。下半期は上昇基調となった。調査では、円高を理由で海外旅行を検討する相場観は平均82.2円で、80円を切ると海外旅行を検討する人の割合は約40%に増加したという。
なお、昨年は東日本大震災があったが、円高の恩恵もあったとはいえ、海外旅行者数は結果としてプラス推移となった。稲垣氏は「実は阪神大震災のときも、関西発の海外旅行は減少しなかった。国内災害があっても、海外旅行の影響は少ないのでは」と語った。
注:各ページの表の出典は「エイビーロード海外旅行調査2012」「エイビーロード海外旅行調査2011」