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現地レポート:カナダBC州、今のMICEトレンドに沿うテーマと素材

  • 2012年2月10日

世界一グリーンな都市をめざすバンクーバー
新たなMICEデスティネーションとして注目

バンクーバーにはエコや福祉をテーマにしたMICEの素地がある。写真はエネルギー効率を考慮して屋根を大改造したB.C.プレイスとロジャース・アリーナ(右) MICE関連の旅行で顧客の満足を得るには、デスティネーションの魅力だけではなく、施設や受け入れ態勢の充実度など、数多くの条件をクリアする必要がある。カナダのバンクーバーは、日本から最も近い北米の都市として一般の観光はもちろん、修学旅行などのデスティネーションとして日本人に親しまれてきた。しかし最近は、MICE、特にエコロジーや福祉関係のイベントやインセンティブ、研修旅行に向いたデスティネーションとしても注目されている。現地取材を通して、その可能性をさぐってみた。


「グリーン」と「サスティナビリティ」
今、注目のテーマに取り組む先進都市

バンクーバー冬季オリンピックの聖火台とバンクーバー・コンベンション・センター バンクーバーは、英国の経済誌「エコノミスト」が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市」で、10年以上にわたってトップクラスの評価を受け続けている。自然環境の素晴らしさや治安だけでなく、バリアフリーの都市計画も高得点の理由だ。誰にとっても住みやすい都市づくりや環境保護、サスティナビリティの実践などで世界の最先端を行く都市、バンクーバーは、エコや福祉に関連したMICEのデスティネーションとして理想的といえるだろう。

>公共の場所には必ず車椅子でもアクセスできるような設備やスロープが設けられている。これはビクトリアのコンベンションセンターに設置された専用リフト また、バンクーバーは環境問題への具体的で現実的な取り組みで長い歴史を持っており、2010年のバンクーバー冬季オリンピックが、オリンピック史上初めて“サスティナビリティ”を基本方針の一つとして掲げていたのも、その流れに沿ったものといえよう。車椅子を利用する方の観光の対応が進んでいるほか、ホテル内でのリサイクルの徹底、環境に配慮した食材を利用したメニューまで、観光に関連した施設やホテル、交通機関などでも、「エコロジー」と「バリアフリー」への配慮が際立っている。

ダウンタウンには海沿いに遊歩道とサイクリング道路が続く。西海岸から東海岸まで1万キロ以上に渡って続く「トランスカナダトレイル」の一部だ さらに、2011年の1月には、バンクーバー市が“Greenest City 2020”のアクションプランを発表し、10年計画で「世界で最もグリーンな都市をめざす」ことを宣言した。このGreenest City 2020は、リサイクル、エネルギー、食物の地産地消を推進などにまでわたる総合的な取り組みだ。特に注目されているのは「グリーン・エコノミー」というコンセプト。環境関連の研究や産業を育成し、雇用拡大や経済効果をもたらそうとするものだ。グリーン・エコノミーの世界的メッカとなることをめざして、企業誘致や投資の促進を進めている。

バンクーバー市役所の市議会場。Greenest City 2020プロジェクトの説明会などのアレンジも可能 なお、バンクーバー市当局だけなく、ブリティッシュ・コロンビア州(BC州)観光局もMICE関連の誘致に力を入れている。日本へのMICEマーケティングはまだ始まったばかりというところだが、BC州観光局の日本語サイトでは、専用のサイトを立ち上げ、グループ&インセンティブ旅行の情報発信とサポートをしている。