現地レポート:カナダBC州、今のMICEトレンドに沿うテーマと素材

  • 2012年2月10日

世界一グリーンな都市をめざすバンクーバー
新たなMICEデスティネーションとして注目

「三都市周遊ルート」との組み合わせでインセンティブも多彩

五輪でスケルトン競技の会場となったウィスラー・スライディング・センター。スタート地点付近には眺めの良いレセプション会場として使えるスペースもある バンクーバーの周辺には、世界的なスキーリゾート、マウンテンバイクのメッカとして知られるウィスラー、ブリティッシュ・コロンビア州の州都ビクトリアという2つのユニークな町がある。数時間以内の移動が可能だが、それぞれ風景も街の雰囲気も大きく違う。また、各都市間の移動の途中には、フィヨルド海岸線や氷河の輝く山並みから、ワイナリーなどまで変化に富んだ旅情を楽しむことができるのもプラスだ。インセンティブの日程に3都市周遊を組み込めば、より付加価値の高い旅を演出できるだろう。

ビクトリア郊外にはグルメレストランを併設したワイナリーが点在している ビクトリアやウィスラーにも、大小の宴会場やホールなどの用意が可能なホテルも少なくないし、設備の整ったコンベンションセンターやレセプションや会議に対応できる施設も多い。ユニークなレセプションの会場としては、大自然と共存する智慧を体感できるスコーミッシュ・リルワット文化センター(ウィスラー)、地産地消の食材と地ワインを味わえるワイナリー(ビクトリア近郊)、宝石をちりばめたようなクリスマスライトを楽しむブッチャート・ガーデン(ビクトリア)などがある。

スコーミッシュ・リルワット文化センターでは、ハーブや食べられる野草を探すネイチャーウォークなど、多彩なプログラムを体験できる もちろん、バンクーバーにも、ベルーガ(白イルカ)が泳ぐ巨大な水槽の前で朝食を楽しむことのできるバンクーバー水族館、贅沢なプライベートスペースでアイスホッケーを観戦できるロジャーズ・アリーナ(バンクーバー)がある。また、これら3都市において、エコや福祉というテーマ性に沿って選ぶことも難しくない。

白イルカが泳ぐ水槽の前で朝食会。水族館内で泊まり、普段は見られない海洋生物の生態を体験するプログラムもある さらに、変化に富んだ雄大な自然環境はチームビルディングのイベントも企画しやすい。チームを組み、テーマに沿って街を歩きながら都市計画や人々の暮らしを観察し、エコやサスティナビリティについて協力して学んでいくプログラム「エコチャレンジ」をはじめ、ホエールウォッチングやハイキングなどのアウトドアスポーツを通してのチームビルディングも人気だ。

 この冬、特に注目されているのは、ウィスラーのスライディングセンター。ここは2010年冬季オリンピックのルージュやボブスレーの競技場として建設されたものだが、ここで一般人でもボブスレーやスケルトンに挑戦することができる。最高時速は124キロに達する可能性もある究極のスリリングな体験を通して、同乗者との結束力も育まれるだろう。

幻想的なブッチャード・ガーデン。取材時はクリスマスのライトアップがされていた バンクーバーは日本から直行便で8時間30分とアクセスも便利。3都市周遊ルートを利用して、多彩な体験を演出でき、クライアントの希望に柔軟に対応できる施設も揃っている。また、日本語で対応できる現地旅行会社、各種の手配や通訳を任せられる会社も多い。治安の良さ、さまざまな文化背景を持つ人々が穏やかな暮らしを楽しんでいる国際性、先住民の豊かな文化、アクティビティの選択の幅広さなども見逃せない。MICE関連のデスティネーションとして、大きな可能性を持っていると思われる。

取材協力:ブリティッシュ・コロンビア州観光局
取材:宮田麻未