2月訪日者数は同月過去最高更新、万博開催控え波及効果に期待-秡川観光庁長官会見

観光庁の秡川直也長官

 観光庁の秡川直也長官は19日、定例会見を開き、2月の訪日者数などについて報告を行った。それによると、2月の訪日外国人数は同月として過去最高の325万8100人(前年同月比116.9%)、出国日本人数は118万1100人(同120.7%)だった。

 訪日者数は、単月過去最高を記録した前月から数字を落としたものの、春節期間が全て2月中となっていた前年同月を上回ったことから、秡川長官は「引き続き好調」との見方を示した。

2025年訪日外国人数・出国日本人数(前年比)
訪日外国人数出国日本人数
2024年2025年前年比2024年2025年前年比
1月2,688,4783,781,200140.6%838,581912,325108.8%
2月2,788,2243,258,100116.9%978,8841,181,100120.7%
3月3,081,7811,219,789
4月3,043,003888,767
5月3,040,294941,709
6月3,140,642930,229
7月3,292,6021,048,823
8月2,933,3811,437,126
9月2,872,4871,212,545
10月3,312,1931,148,502
11月3,187,1751,175,117
12月3,489,8001,187,207
1~2月5,476,7027,039,300128.5%1,817,4652,093,400115.2%
1~12月36,870,14813,007,282

出典:日本政府観光局(JNTO)

 来年3月末までを期間とする観光立国推進基本計画(第4次)においては、2024年実績が訪日カテゴリの旅行者数・消費額目標に既に達している一方で、1人あたりの地方部宿泊数は1.36泊と目標の2泊に届いていない。

 この状況を受け、石破総理は18日の観光立国推進閣僚会議において、地方誘客促進や持続可能な観光推進へ取り組みの強化を指示。加えて、2026年度からの新たな基本計画の策定を求めたばかり。新たな基本計画では、2030年までに訪日者数6000万人、消費額15兆円の目標が掲げられるが、秡川長官によると、「(現時点で)期中の中間目標の設定は考えていない」という。

 また、アウトバウンドも含めた相互交流の促進では、2024年1月よりスタートした「日米観光交流年」の取り組みが今月末で終了となる。この成果について秡川長官は、主要市場となるアジア圏からの昨年の訪日者数が19年比10%増だったのに対し、米国は19年比58%増と大幅な伸びを見せ、国・地域別でも4番目を記録したと言及。一方、米国へのアウトバウンドについては、インバウンドほど伸びていないものの、野球観戦などスポーツをフックとした需要増加に期待感を示した。

開催迫る「大阪・関西万博」

 大阪・関西万博の開催を間近に控え、秡川長官は「万博をきっかけに日本全国に観光に行っていただきたい」と改めて期待感を示した。JNTOが今年2月に中国市場の旅行会社約100社を対象に実施したアンケートによると、半数以上が既に万博関連の旅行商品の造成を行った、または今後造成すると回答しており、「万博に関する認知度や関心は、東アジア中心に高まると予想している。ツアー販売もしっかりサポートしていきたい」と述べた。

 また、観光庁が行った国内旅行会社・業界への聞き取りでは、約250もの万博関連商品が造成されており、鳥取砂丘や有馬温泉といった地方部への観光も組み合わせたものも多く、国内観光の促進にも期待がかかる。