新春トップインタビュー:OTOA会長 大畑貴彦氏
オペレーター規制で法的位置づけを明確に
下請法違反の「悪しき習慣」撤廃へ
-ランドオペレーターへの規制についてはどうお考えですか
大畑 今年の1月に軽井沢で発生したスキーバス事故や、訪日旅行における悪質なランドオペレーターの問題が取りざたされるなか、観光庁は「新たな時代の旅行業法性に関する検討会」を開催し、ランドオペレーターの規制について議論を開始した。我々も検討会には参加し、意見を述べてきた。
日本ではランドオペレーター事業は誰でもできるが、海外は法的に位置づけられている場合が圧倒的に多い。OTOAとしては、法的な位置づけを明確にした方が良いと考えている。
法的位置づけを明確にすることは、ランドオペレーターの資格を取得した社員を会社に置くということ。検討会が昨年12月に発表した中間取りまとめでは、何らかの講習を受講することで資格を得ることができる形を提案している。ハードルとしては高くないので、我々の会員にも理解してもらえると思う。
OTOAとしては、ランドオペレーターを海外、国内、訪日旅行と分野で分けるのではなく、仕事自体を定義付けて規制することを要望している。旅行者の安全を確保し、旅行の質を左右するような重要な仕事を担当しているという点は全分野で共通している。中間とりまとめでは国内と訪日旅行のランドオペレーターが規制の対象で、海外旅行を手配するランドオペレーターについては「継続検討」とされており、とても残念だ。
-中間取りまとめではランドオペレーターと他業種間の契約についても言及がありました
大畑 検討会に出席している担当役員によれば、参加者は必ずしもランドオペレーターの仕事を十分理解しているわけではないようだ。例えば観光庁が11月の第1回会合で発表した「ランドオペレーターに関する調査業務報告書」では、宿泊施設などのサプライヤーが挙げたランドオペレーターとのトラブルとして「直前でのキャンセル・変更」が最も多く回答されていたが、それは我々が好きでやっていることではない。間際の変更や取消については旅行会社、ひいてはそのお客様の都合で起きているが、ランドオペレーターが原因だと取り違えられている。
そもそも、事業者間の契約に基づいているのであれば、間際のキャンセルも問題はないはずだ。そうした契約を締結していないのであれば、それはランドオペレーターだけの責任ではなく、両者の責任だろう。
昔は、旅行会社からランドオペレーターに対して馴れ合いのなかでのお願いが多く、デポジットやキャンセルチャージもランドオペレーターが立て替えたり負担したりすることが多かったが、今は契約書面にそうした事項も組み込んで、請求すべきものは請求している。これまでは曖昧だった事柄に対し、ランドオペレーター側が徐々に毅然とした態度を取れるようになってきた。
それでも観光庁の調査によれば、ランドオペレーターに仕事を依頼する際には、電話や口頭で依頼するケースが約半数に上るとの結果が出ている。契約書面を交わさずにFAXのみのやり取りも多い。海外ではこうしたことはまずなく、しっかりと契約書を交わしているのに、日本は遅れている。日本独特の商慣習を変えていかなければならない。