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地域に分け入るJAL社員たち~関西広域・兵庫県編~

  • 2022年4月22日

「城崎」と「カニ」だけではない「豊岡のローカル」
「KANSAI」エリアの魅力を世界へ

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。

 京都や大阪といえば訪日観光客のゴールデンルートだが、関西の他の地域や「関西」そのものとなると世界での知名度はまだ低い。城崎温泉で知られる兵庫県豊岡市は「豊岡のローカル」の発信に、広域地域DMOの関西観光本部は関西地方のエリアとしての認知度を高めるプロモーションにそれぞれ力を入れている。

夜の城崎温泉街

兵庫県豊岡市役所

環境経済部大交流課 島津太一さん

出身は兵庫県姫路市です。家族は現在、千葉県に住んでいます。

入社後、旅行会社セールスを10年間経験し、その後整備部門、予約コールセンターの人事労務、Web販売業務などを経験しました。

2020年4月より豊岡市役所環境経済部大交流課に出向し、初年度はインバウンド誘致業務に取り組みました。昨年度からは国内誘客業務を主に、観光分野のDX整備事業を担当しています。


-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 同じ兵庫県でも、生まれ育った瀬戸内海側とは風土が異なり、冬季の降雪量は多く、夏季の気温もはるかに高い。豊岡といえば、まずは城崎温泉です。全国の温泉街のようにホテル、旅館の大浴場を利用し、食事も施設内ですませるスタイルとは一線を画し、お客様がまちの7つの外湯をめぐり、それぞれの趣向を楽しまれるところが大きな特徴です。

 また海水の透明度が高い竹野海岸は日本海側らしい厳しくも清廉な印象を受けます。グリーンシーズン以外も、紅葉が美しい安国寺のドウダンツツジや神鍋高原のウインタースポーツを楽しんでいただくことができます。あわせてコウノトリの野生復帰のストーリーはぜひふれていただきたいと思います。

コウノトリ

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。

 豊岡市には城崎温泉というキラーコンテンツはあるのですが、現状では平均宿泊日数もほぼ1.0泊に近く、また宿泊客の1人1泊当たりの観光消費額は京都市等と比較しても低く、二次交通があまり発達していないこともあり、市内の周遊が活発だとは言えません。市内の周遊啓発が重要な課題です。地域間の周遊を図るために、この春にはスタンプラリー キャンペーンを行い、豊岡市内の観光スポットをお客様への認知拡大を図りたいと考えています。

-観光事業者や他の自治体と連携して取り組みたいことがあれば教えてください。

 豊岡市では昨年度より、地域の宿泊施設事業者のデータを一元的に統計化し、過去実績をタイムリーに把握することと、全国でも類を見ない地域全体のオンハンドデータを集計し、需要予測を行い、経営効率化を図る「豊岡観光DX事業」の初年度を迎えました。今年度はデータをより精緻に仕上げることに加えて、来訪したお客様により便利で、お得に周遊していただけるよう新しいシステムの導入と、全体のシステム自体を市内全域に、また業態の垣根を越えて飲食、物販事業者へ拡大していく計画をしています。今後の豊岡市にご注目ください。

環境経済部大交流課大交流係 谷垣貴洋さん

2001年に旧日高町役場に採用され、2005年の市町合併により現豊岡市職員に。農林水産課での環境創造型農業の推進や、コウノトリ共生課でのコウノトリ野生復帰事業の担当を経て、2018年から2年間、人事交流によりJALへ出向。同社地域活性化推進部で山口・九州・沖縄エリアの担当として、自治体・企業等と連携した地域活性化推進事業に従事。

2020年に豊岡市環境経済部大交流課へ帰任し、2021年から現職。主に国内誘客を担当し、現在は、豊岡への憧れや共感、関係性を軸にした「豊岡ファン」づくりや、訪問者・市民・市内事業者の交流による滞在期間の延長や訪問回数の増加など、コミュニティ・ツーリズムの確立を目指した取り組みを行っています。

-観光資源やお薦めの食、特産品などをご紹介ください。

 本市は、名湯「城崎温泉」を核に、西日本屈指の「神鍋高原スキー場」、日本の渚百選に選ばれている「竹野浜海水浴場」、ユネスコ世界ジオパークに登録されている「玄武洞」、但馬の小京都「城下町出石」などの観光資源を有しています。地場産業としては、全国4大産地の1つ「かばんのまち豊岡」で生産される「豊岡鞄」のほか、現代の白磁として知られる「出石焼」などが有名です。

 一度は日本の空から姿を消したコウノトリの最後の生息地でもあり、半世紀に及ぶ野生復帰への道のりで生まれたのが「コウノトリ育むお米」。農薬や化学肥料に頼らず、多様な生きものを同時に育む農法で栽培されたお米は、国内外で愛されています。また、冬の日本海の味覚の王様「松葉ガニ(ズワイガニ)」、日本一の肉質と言われる「但馬牛」、出石焼の小皿に分け入れられた「出石皿そば」は、食通も唸らせるお薦めグルメです。

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