【若手ホテリエに会いに行くvol.4】ホテルマネージメントジャパン 竹原陸さん
「教養あるクリエイターとしてホテルを表現」
新卒2年目ホテリエが目指す「豊かなライフスタイル」
竹原 ここまで人が移動できなくなる世の中が来るとは思っていませんでした。ベル業務で4時間立っていて1回もドアが開かなかったり、宴会場フロアに一切音がしなかったり。現場にいた頃感じた、本来人がいるべき場所に誰もいない違和感や静けさを今でも覚えています。その経験から、「ホテルの本質的な存在意義はなんだろう」と考えました。「前提条件は変わり得る」ということは大きな勉強でした。
また、「観光する価値とは何だろう?」ということも深く考え直しました。家に籠っているとPCやスマホ上の情報だけ見るようになり、生の情報に触れる機会が少なくなります。戦争の状況にしても現地で本当に何が起こっているのか分かりようがない。その意味で世の中の情報は二次情報、三次情報ばかりですが、観光はバイアスの入っていない体験であり、一次情報そのものです。その土地の美しさや文化を五感で感じ取れる旅というものは素晴らしいなと、改めて思いました。
竹原 現在は「オリエンタルホテル&リゾーツ」ブランド全体の認知度向上が最重要タスクであり目標です。ホテル内の体験だけではなく、立脚する地域に目を向け、地域を巻き込んで、地域とホテルのUSP(Unique Selling Proposition)を掛け合わせた「コ・クリエーション」を実現することテーマにしています。これは、私が感じている「ホテルはライフスタイルそのものを提示できる」という可能性とも方向性が一致します。ゲストの方々がその土地の魅力に気づけるような体験を提供するという、ホテルの本質的な意義に基づいた活動をしていくのが、会社と私自身の目標です。
竹原 1つ言えるのは「好奇心を持つこと」だと思っています。ホテルはやり方次第で何でも表現できる、何でも掛け合わせられる、何でも提供できる、色んな遊びができる産業です。教養を身に付けることは、遊べる幅を持てるということでもあります。例えば私は日本酒が好きなのですが、その知識をイベントを通じて提供することもできますし、接客でもゲストとの会話が弾みます。
ホテリエはオペレーターの部分もありますが、教養あるクリエイターとして自分のホテルを表現できるようになると、さらに楽しくなると思っています。ホテルに限らず様々な世界や面白いことを知り、人としての深みが増すほど接客も面白くなると考えているので、私も毎日楽しんで様々なことを勉強しています。