地域に分け入るJAL社員たち ~愛媛県今治市編~

  • 2021年12月14日
-今後の需要回復も見据えて、コロナ後はどのようなターゲットにどのような商品・素材を紹介していきたいですか。

 世界のサイクリストが認める「しまなみ海道」はキラーコンテンツですが、その他の観光素材は磨き上げが必要で、まだまだ世間へのPR不足が否めません。観光コンテンツをメインとして、サイクリングは一緒に楽しむコンテンツとした「+cycle」の名称を掲げて幅広いコンテンツの磨き上げを図っています。

 個人旅行の動きが主流となるなか、今治は従前より施設が小さく、その点は追い風と感じています。個人単位で体験コンテンツをスマートに予約できる仕組み作りを考えていきたいです。また、修学旅行需要は当分国内に向くと推定しており、しまなみ海道のサイクリングと地域の体験コンテンツを活かしてリピーター校の獲得を目指していきます。

 このほか、今治にある温泉郷の活性化や営業経験を活かした売り込みを図り、温泉地を目的地としていただくことや、サイクリングで疲れた体を癒やせるような仕組み作りも考えていきたいと思っています。

-観光事業者や他の自治体と連携して取り組みたいことがあれば教えてください。
今治焼豚玉子飯

 今治はサイクリングだけでなく、島を結ぶ大橋を活かした景観、来島鯛やB級グルメ焼豚玉子飯、陸地部では多品種の野菜など、様々な魅力があります。しかし観光では発展途上の分野も多く、民間企業と連携して観光誘致や誘客を図っていきますので、是非とも視察に訪れ、事業展開をご検討いただきたいと思っています。

 また、新たな旅のスタイルとして「今治ワーケーション」にも力を入れています。今年度は出向元のJALにも今治でワーケーションを体験してもらいました。ワーケーション向けの旅行商品や短期移住向けの旅行商品を造成していただき、今治移住を促進していきたいと思っています。

産業部観光課 主査 上田勝大さん

2006年に今治市役所に入庁し、ごみ減量推進課、人事課を経て、2017年から観光課に配属となりました。担当業務は観光振興に関することで、誘客促進のため観光PRを主に行っています。昨年から新型コロナの影響で打撃を受けた観光事業者支援や市民向けのマイクロツーリズム促進策などコロナに翻弄されながらも駆け抜けてきましたが、今後は一気に反転攻勢を仕掛け、旅行先に選ばれる地域を目指したいと思っています。

5歳の娘と1歳の息子がおり、昨年は育児休暇を取得し、子育ての大変さを改めて実感しました。今後も多くの職員が育児休暇を取得し、知見を深めてほしいと思っています。週3、4回ランニングをしており、フルマラソンで4時間を切る「サブ4」を達成したこともあります。休日は夜明け前から走った後に、朝風呂で汗を流すことが至福の時間。学生時代からハンドボールを続け、国体にも3回出場しました。
-観光資源やお薦めの食、特産品などをご紹介ください。

 今治市は瀬戸内しまなみ海道で広島県尾道市と結ばれ、人口15万人、愛媛県2位、四国5位を誇る都市です。エーゲ海のような多島美の中にあるしまなみ海道は世界的な観光ポテンシャルをもち、本市のシンボル的な存在です。2019年には「日本を代表し、世界に誇りうるサイクリングルート」としてナショナルサイクルルートにも指定されるなど、「サイクリストの聖地」として世界的に認知されつつあります。また、日本遺産「村上海賊」に代表される歴史文化遺産や伝統芸能、さらには独創的な美術館や博物館、温泉地などのほか、多彩な地域資源に恵まれています。

 産業では日本最大の海事都市である海運業、造船業をはじめ、ブランドとして確立された「今治タオル」は他の地域に類がないほど集積化が進んでおり、石油関連事業、食品産業などを含めた製造品出荷額等では四国一を誇っています。日本三大急流で知られる来島海峡の海鮮や、鉄板で焼く今治焼き鳥、柑橘類など食の魅力も豊富です。

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