地域に分け入るJAL社員たち ~愛媛県今治市編~

  • 2021年12月14日

 客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。第2回は、「サイクリストの聖地」として海外からも注目を集める愛媛県今治市に出向する上村哲平さん、同観光課の上田勝大さんに話を聞いた。

日本三大急潮のひとつ「来島海峡」を臨む亀老山展望公園

愛媛県今治市

産業部観光課 上村哲平さん

1998年にジャルセールスの前身である日本エアシステム(JAS)グループの旅行会社に入社し、北九州支店で航空券やパッケージ旅行の販売、添乗業務など、幅広い旅行業を経験しました。後にJAL・JASが統合となり所属会社がジャルトラベルへ、その後現在のジャルセールスに社名が変わりました。北九州支店、福岡支店、鹿児島支店と九州内での赴任を経て、本社内の本店国内旅客販売推進部へ異動。国内線の販売業務グループで東京発九州路線の販売推進を担い、販売計画や団体販売の舵取りを行ってきました。
-住んでみて初めて知った地域の特色や、お薦めの観光素材はありますか。

 実は今治市への転勤を聞いたときは、今治タオル、今治造船のイメージが強かったものの、位置関係もハッキリと示せず、サイクリングの聖地である「しまなみ海道」を有するサイクルシティであることも知りませんでした。

 瀬戸内海は日本海や太平洋と違い波が穏やかですが、「しまなみ海道」にある海峡には潮の満ち引きで最大10ノット(時速18km)の強い潮が流れています。白波を立て渦潮が発生する光景を目の当たりにして、大自然を身近に感じることができるのは、この地ならではだと思います。お勧めは速い潮を体験したり造船所を海から見学できる「急流観潮船」。今年から運航を開始したサイクルシップは自転車を載せることも可能で、「しまなみ海道」の足として周遊観光が楽しめます。

-出向して最も解決したいと感じた課題は何でしょうか。またそれに対して実施している取り組みがあれば教えてください。

 着任前に東京と今治を数回往復する機会があり、二次交通の弱さを痛感しました。松山空港-今治間にはリムジンバスが運行していますが、利用便と接続が合わなければJR松山駅経由となります。しかも松山空港-松山駅間は1時間に1本から3本、松山駅-今治駅間は1時間に2本と、接続次第では2時間以上かかることもあります。さらに今治駅へ到着してからも、公共交通機関では行けない観光地や、本数の少ない路線バスを乗り継ぐ必要のある観光地もあり、観光客としてのストレスを感じていました。

 二次交通の改善を図りたいと、6月に公募された観光庁の事業について交通事業者を中心に説明し、賛同をいただいた事業者で事業者連携のチーム「one team imabari」を結成しました。その後事業の採択をいただき、二次交通の改善に向けた事業の推進役を務めています。

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