travelvision complimentary

宿泊施設の予約業務アウトソーシングをサポート、「ミナモ」小池道隆氏

  • 2021年11月8日

提供するのは「引き算のサービス」
パートナーとして宿泊施設の効率化に貢献

-中長期的には宿泊需要が戻るのは間違いありませんが、自社のビジネスに関してはどれくらいの成長スピードを予想していますか。

小池 ニーズは非常に大きいと見ています。宿泊施設にビジネス内容を説明すると「こういうサービスは初めて知った。詳しく知りたい」と言われます。対象市場である宿泊施設の99.99%は知らない。それだけ成長の余地は大きいと感じます。

 我々が提供しているのは単なる電話代行サービスではありません。問い合わせ対応と予約受付を合わせたサービスであり、予約課の仕事を丸ごとアウトソーシングできる受け皿としてのサービスです。電話やメールの問い合わせへの対応、予約受付に加え、部屋割りや送迎手配、宿泊予定者への最終確認などまで対応します。委託内容は自由に設計でき、およそ遠隔でできることはなんでもやってきたという歴史です。そのためじっくり宿泊施設のニーズに耳を傾け、当社でサポートできる体制を構築し、期待通りの成果を出すための仕組みづくりを徹底しています。

 世の中では、サブスクライバーが増えれば増えるほどビジネスは良くなるとされています。ノーコストで増えるのならばその通りですが、我々は契約が1社増えれば応分のコストを抱えねばなりません。予約業務のアウトソーシングにはそういう難しさがあります。

-宿泊施設で予約業務をしていた労働力の一部を雇用したり出向で受け入れることもあるのですか。

小池 当社は東京にあり、取引先である宿泊施設は遠方が多く、宿泊施設のスタッフが籍を変えるのは難しい。宿泊施設のスタッフは、現地にいるからこそ重要な役割が担えるのだと思っています。将来を見据えれば宿泊施設との人的交流は必要です。お互いに研修をして情報交換やノウハウの共有化を図っていきたいと思います。

-予約センター機能はコロナ禍の現在、テレワーク対応ですか。

小池 物理的には可能ですが、PMSやサイトコントローラーにもアクセスしつつ対応するとなると、セキュリティの問題も含めてリモートでは手間がかかります。そもそも日本の家庭にテレワークに適した環境は見出しづらい。出勤と在宅を選択できますが出勤を選ぶオペレーターが多く、私も出勤派です。

-日本の観光産業は総じてDXが遅れているとされますが、宿泊ビジネスにおけるDXについてどうお考えですか。

小池 宿泊施設に対しては「我々が行うのは引き算のサービスです」と紹介します。業務の効率化は担うが、何かプラスの作業を持ち込むことはしません。現行の方法をそのままに移行し、プラスを持ち込まずに業務を減らす、つまり引き算のサービスです。

 DXは足し算のサービスで、相手に変化を求めますが、若者はともかく50代・60代に急激な変化を求めることは酷なことです。DXを徐々に進めることは大切ですが、ビジネス環境も需要動向も激しく変化する中で、教育が間に合うのか、対応できるのかを見逃すべきではありません。むしろDXが必要な部分を我々が一旦引き受け、現場の負担をまずは軽減するというスタンスです。

 我々が予約処理を集約することで、より迅速な方法や効率的な方法、ノウハウを蓄積し、パートナーとして宿泊施設に少しずつ効率化をご提案する。それにより宿泊施設のDX化に貢献する方が、DXを直接押し付けるよりも早くトランスフォーメーションする結果につながるのではと思っています。

次ページ >>> 多言語対応への考え方