国境再開に向けて「マナアキタンガ」精神で準備を-ニュージーランド政府観光局日本局長 猪膝直樹氏
2022年に海外旅行者の受け入れ再開で指針を発表
旅行業界向けには知られざるニュージーランドをウェビナーで紹介
世界中が依然として新型コロナウイルスの感染拡大に苦しんでいるなか、ニュージーランドはその抑え込みに成功している数少ない国のひとつだ。8月12日には、国内のワクチン接種を完了することを前提に、来年には安全かつ円滑に国境を再開すると発表した。ニュージーランド政府観光局は、海外旅行市場の復活を見据えて、日本の旅行業界や消費者とのコミュニケーションを継続している。今後、本格的な回復に向けてどのような照り組を進めていくのか。現地の現状と合わせて、同局日本局長の猪膝直樹氏に話を聞いた。(インタビューは8月13日に実施)
猪膝直樹氏(以下敬称略) ニュージーランドには感染状況に関する警戒レベルが4段階に分かれており、現状は最も低い「レベル1」が継続されています。昨年3月から5月にかけて「レベル4」としてロックダウンを実施したことで封じ込めにある程度成功しました。
ニュージーランドの水際対策は徹底しており、空港や港湾で陽性者が発見された場合は、国指定の施設で隔離することで市中感染を抑え込んでいます。また、アーダーン首相は8月12日に、今年中にはワクチン接種対象者全員の完了を目指すと発表しています。
猪膝 政府は旅行業界の支援のために4億ニュージランドドルを拠出しました。100社を超える企業に助成しています。また、マオリ文化の保護など重要な観光資源に対しては、「Strategic Tourism Assets Protection Program(STAP)」と呼ばれる別の支援を実施しています。
インバウンドオペレーターについては、海外からの旅行者が止まっているなかで、ほぼ休業というところが多いです。人員削減によって最低限のスタッフで運営をおこない、市場が回復すれば、また再雇用する計画のようです。ホテルについては、休業しているところはほぼありません。
ニュージーランド政府観光局の役割は、世界各国でニュージーランド観光のプロモーションを推進することですが、コロナ禍でそれが少し変わり、今後は国内の旅行振興も大きな柱になってきます。そのひとつとして、国内向けのキャンペーンとして、「Do Something New New Zealand 」を展開。国民に国内旅行で新しいニュージーランドを発見しようと呼びかけています。
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