国境再開に向けて「マナアキタンガ」精神で準備を-ニュージーランド政府観光局日本局長 猪膝直樹氏

  • 2021年9月10日

2022年に海外旅行者の受け入れ再開で指針を発表
旅行業界向けには知られざるニュージーランドをウェビナーで紹介

-ニュージーランド政府は近頃、国境再開に向けて、海外旅行者受け入れの計画を発表しました。
インタビューはオンラインで実施した

猪膝 ニュージーランド政府は8月12日に、来年に円滑かつ安全に国境を再開させる計画を発表しました。まず第1段階としては、今年末までに国民のワクチン接種を完了させること。そのうえで、対象国のリスクを低・中・高に分類します。低リスク国からのワクチン接種者は隔離なしでの入国が可能。中リスク国からのワクチン接種者は隔離の期間や場所についての条件を緩和するとしています。高リスク国からのワクチン接種者、またワクチン未接種者は引き続き14日間の自主隔離が必要で、隔離中にPCR検査を受け、陰性であれば、14日以降に解除されます。

 いずれの国からの旅行者に対しても、出発前検査と到着時の簡易検査、入国時のワクチン接種の有無を含めた健康問診が義務化される方針です。

 感染状況が刻々と変化しているため、リスク国の分類は現時点ではおこなわれておらず、今のところ日本がどのリスクに分類されるかは分かっていません。日本との往来再開は、ニュージーランドのみならず日本政府の対応によっても変わってきますので、引き続き注視しています。

-観光における今後の目標をお聞かせください。

猪膝 ニュージーランドでは引き続き、ニュージーランドを豊かにする「Enrich Aotearoa(エンリッチ・アオテアロア)」という取り組みを進めています。アオテアロアとはマオリ語でニュージーランドという意味で、観光で環境、文化、社会、経済に貢献していくという意味が含まれています。そのなかで、観光局として6つの指標を掲げています。

 1つ目が魅力的なブランディングの展開。2つ目が国内旅行の基盤を整備し、中期的な需要促進していく。3つ目が国境再開に向けて、優先順位の高いマーケットに価値の高い旅行を提案していく。4つ目が自然に加えて、先住民マオリの価値を全面に打ち出していく。5つ目が海外からの旅行者に向けて、安心安全な旅行を含めて、質の高い体験を提供していくために旅行業界をサポートしていく。6つ目が需要回復に向けて、政府が進めるプログラムにさまざまな情報を提供していくことです。

-アフターコロナでは、日本人の旅行スタイルは変化するとお考えですか。

猪膝 100%変わることはないと思いますが、新型コロナの影響で多少の変化は出てくるでしょう。ニュージーランドでは、これまで周遊スタイルが定番でしたが、今後は一ヶ所に滞在しながら、その地域を楽しむ旅行は増えてくるのではないかと見ています。たとえば、クライストチャーチで長期滞在して、その周辺の魅力的なことを楽しむなどの滞在型のスタイルです。

 そうした変化に向けて、観光局では旅行会社向けウェビナーで、これまで知られていなかったニュージーランド、ガイドブックに載っていないニュージーランドなど、深堀りした情報を提供しています。

次ページ >>> 日本市場への取り組み