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高知県、ニューノーマル観光で選ばれる旅行先に —高知県観光コンベンション協会専務理事兼事務局長 岡林秀典氏

  • 2021年10月11日

感染対策の徹底で安心の旅行環境を提供
『竜とそばかすの姫』の舞台としてPR

-今年の目標をお聞かせください。

岡林 県が当初立てた入込目標は435万人でしたが、コロナ禍でその見込みは立っていません。下期に入る前に、昨年の実績を踏まえて、目標を再設定しているところです。実質的な目標に置き換えていく必要があると考えています。

-新たな観光の切り口として、各地域では関係人口の創出に力を入れています。高知県の取り組みをお聞かせください。

岡林 関係人口の目標人数は設定していませんが、移住につなげていくための入口としての観光はあると思います。移住の説明会では、観光のPRもしていますし、観光情報ガイド「よさこいネット」では、観光の情報を発信するとともに、移住案内のリンクを貼るなど移住部署との連携を取っています。まずは高知県を好きになってもらいたいという思いです。

 大学進学のために県外に出る学生が多く、県外でそのまま就職するため、人口が減少し、高齢化率も高くなっています。県外の大学を卒業して、高知に帰ってくるのは20%弱。県内の人は県内の企業のことを意外と知らず、高知に就職口がないというイメージを持っているようですが、実は有望な企業も多くあります。県としても、少しでも高知に帰ってきてもらう取り組みを積極的に進めているところです。

 また、テレワークやワーケーションなど新しい旅のスタイルの推進についても、県の地域観光課を中心に推進しているところです。コンベンション協会としては、特に旅行会社に対して、送客に応じてインセンティブを出すなどの取り組みを進めていく方針です。

-訪日客はほぼ皆無と仰っていましたが、将来の需要回復に向けた取り組みはいかがでしょうか。

 基本的に県がプロモーション、コンベンション協会がセールスと役割を明確にしています。現在はセールスに行くことが難しい状況ですが、高知県をもっと知ってもらうために、休まずに情報を発信しています。また、現地のレップなども通じてコミュニケーションを図るなど、将来のために地道にやっているところです。

 アフターコロナを見据えて、国内と同様にインバウンドでも、安心安全の徹底、多様な過ごし方の提案、自然体験、食資源、密回避などアピールしていきたいと考えています。それらは、高知県がこれまで取り組んできた施策ですが、アフターコロナにもそのまま使えると思っています。それらを骨子とし、SDGsなどへの対応も加えて、来年度に向けて具体的な施策を肉付けしていく計画です。

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