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マイルで生活できる世界を目指し、非日常から日常への拡大に挑戦-ANA X代表取締役社長 井上慎一氏

需要はマグマのように溜まっている状態
知恵を働かせればさまざまな可能性がある

-航空販促事業の内容がイメージできないのですが、ご説明願えますか。

井上 ANAあきんどの航空セールスは旅行会社や法人が対象のB2Bですが、ANA Xは主に「ANAウェブサイト」の運営を通じたウェブ販売で、デジタルを中心としたキャンペーン施策などの販売促進活動を行っています。とはいえANAあきんどとのシナジーを発揮できる場面もあり、今後もコミュニケーションを図っていきます。

-具体的には例えば、法人顧客の中から発生する個人旅行需要などでしょうか。

井上 仰る通りです。

-ソリューション事業の中身についてもお聞かせください。

井上 ソリューション事業としては例えば広告事業があります。TaaSの中で、我々のプラットフォームを通じた観光スポットや食事に関する検索が発生した場合、適切なタイミングでの情報提供に繋がる広告の発信を考えています。地方創生に関しては地方自治体の地域創生に貢献するソリューション提供も考えており、この部分はまさにANAあきんどとのシナジー効果を発揮できる部分です。また移動手段を持つANAグループとして、交流・関係人口の拡大や消費拡大のためのソリューションを提供できる余地は大きいと見ています。

-最後に、コロナ禍に耐えている読者に向けてメッセージをお願いいたします。

井上 社員にも話していることですが、コロナ前に日本の観光産業は1つのピークに達していたと感じています。ラグビーワールドカップで、それまでのアジアからの訪日旅行者に加えて欧米や豪州からの旅行者が増えました。彼らの1人当たり消費額は、それまでの訪日客の2.4倍だったそうです。私も当時観戦客らと話をしましたが、皆が「日本は良い所だ」「また来たい」と口を揃えました。それで、さあこれからと感じていた矢先にコロナ禍に見舞われたわけです。

 しかし旅行市場における日本のポテンシャルの大きさは変わりません。インバウンドの需要が蒸発したなどとも言われましたが、私はそうは思いません。蒸発ではなく、逆にマグマのように溜まっている状態で、むしろボルテージは上がっている。ワクチン接種が進めば必ず需要が回復するし、今年度中にはそのチャンスが来るはずです。それを逃さぬよう、一緒になって観光産業を盛り上げていきましょう。私は全く諦めていません。

-ありがとうございました。