星野リゾート、九州・京都など国内外9軒を開業へ、需要予測とインバウンド再開も-「星野リゾートLIVE2021春」
インバウンドは9月から再開か
今回の定例会見ではコロナ下における宿泊施設運営の現状と今後の予測も発表された。それによると星野リゾートが昨年から掲げてきたマイクロツーリズム振興がコロナ下での同社の宿泊需要を下支えしている。星野リゾートでは今年、日本全体を11のマイクロツーリズム商圏に分け、それぞれの商圏でローカルメディアへの情報発信強化と関係強化を図った。
そのうえで、たとえば地域のフリーペーパーに広告を掲載しQRコードから特設ランディングサイトへ入れる動線を用意するなど予約方法について進化を図った。その結果、星野代表は「界ブランドについては、昨年8月以降は19年比プラスとなるケースも出てきた。また九州では今年のマイクロツーリズム需要が75%を占め売り上げを下支えした。今後もマイクロツーリズムにいかに本気で取り組むのかが重要になる」とした。
需要予測については、ワクチン接種が大きなカギを握るとした。その根拠は感染者数と予約者数の相関関係の変化だ。同社によれば、コロナ禍が始まって以降の感染者数と予約者数の増減は完全な相関関係にあった。しかし今年に入り感染者数が増えても予約数は比較的安定したまま推移するようになった。この点について「おそらくワクチン接種の開始が影響しており、政府が言うように夏までに高齢者への接種が終われば、だいぶ状況が変わってくると期待できる」(星野代表)。
インバウンドについても日本国内と世界でのワクチン接種の進捗状況次第で大きく変わるものの、夏に五輪が開催され各国の感染状況とワクチン接種状況を見て1国ずつ日本政府が入国を許可する形によって、9月からインバウンドが再開すると予測している。9月からの再開で3カ月間分の需要が生まれても21年のインバウンド需要は19年比5%程度に留まる。
しかし星野リゾートは「まずは戻り始めること、インバウンドへの取り組みが再開できることが重要であり、22年には何とか50%まで戻し23年は19年比で元に戻すことに挑戦できる年になると期待する」としている。