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コロナでの学びを活かし、新しい観光の形を探る-別府市長 長野恭紘氏

市長が先陣を切って内需喚起
Go Toトラベルは段階的な再開を

-市長ご自身や市役所の方が自腹で地元の宿泊施設を利用されているという話を伺いました。

長野 私は熊本地震の際も1人で10連泊しました。でもこれは正直、体力的にも、毎日料理を食べるのも、美味しいとはいえキツいんですね(笑)。今回は連泊ではなく空いている日を見計らって泊まっているのですが、既に20泊以上しています。自分達の街をもっと知ることにも繋がるので、各経済団体や市の職員にも協力をお願いして、内需の喚起に努めています。

-ワーケーションについてはどのようにお考えでしょうか。

長野 ワーケーションはひとつの新しい観光の形だと思っています。どこの観光地も同様だと思いますが、オン・オフのシーズンの落差は大きな課題です。その解決策にもなり得るのではないでしょうか。

 コロナを機にデジタル化が進み、どこでも仕事ができるという意識はある程度定着しました。観光地として良い場所は住む場所としても良い。その意味でワーケーションには福利厚生の役割もあると思います。従業員の皆さんがより快適な環境で働くことで生産性も上がり、身体も心もリフレッシュして過ごすことができる。企業は付加価値を上げ、我々も新しい形のお客様を受け入れる、双方にメリットがある形で進めていきたいですね。

 ただ、やはりまだハードルは高い。仕事をするうえでは、より強力なネット環境や快適なデスクなどが求められます。また、企業や従業員の心のハードルもあります。とはいえ、それは一度来てもらえさえすれば簡単に取り除けるものだとも思っています。我々がその第一歩を踏み出してもらう後押しをする必要があり、それができれば長く続けていくことができる取り組みではないかと考えています。

-コロナ前にはオーバーツーリズムも問題となっていましたが、観光客の誘致についてはどのようにお考えでしょうか。

長野 原点に帰ると、我々は市民のために仕事をしています。観光は市民の皆さんを幸せにする手段のひとつで、「別府って素晴らしい」と思ってもらえる人を増やしていきたいと考えています。ですから、単純に観光客の人数を増やすのではなく、別府のファンを増やして2度3度と来てもらう。結果として宿泊数も伸びることになると思いますが、別府を愛する人によりディープな別府を味わってもらえるような戦略を立てていくことが大切だと思っています。

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