ネット販売全盛でもリアル店舗は必ず必要 三洋航空サービス社長の中塚裕博氏
新たに大手店舗を引き継ぎ出店
将来のリスクに備え業態変更も
神戸市を中心に営業所を展開する第1種旅行業の三洋航空サービス。社長の中塚裕博氏が尼崎信用金庫時代の同僚2人と1988年に立ち上げた。尼崎信用金庫の取引先や信用金庫の社員旅行などから営業を始め、現在は関連会社を含め14営業所にまで事業を拡大してきた。しかし、昨年からのコロナ禍の影響は大きく、会社存続に向けて新たな業態にも挑戦している。2021年以降の旅行市場をどう見ているのか。今後の店舗のあり方も含めて、中塚氏に話を聞いた。(聞き手: 弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)
中塚裕博氏(以下敬称略) 2020年9月期決算で、売上は前年比55.1%のマイナスとなりました。コスト削減のために(不採算店舗)2店の閉店を決定し、2020年8月のそごう西神店の閉店に伴って「そごう西神営業所」を閉めました。また、尼崎市の「立花営業所」を閉店しましたが、ここはコロナ前から不採算店舗でした。
このほか、雇用調整助成金を活用してきましたが、全社員の給与を1年間20%カットせざるを得ませんでした。新入社員については、お付き合いのある高級老人ホームに6ヶ月間出向させました。現在は出向期間は終わり、自宅待機の状況ですが、異業種に触れることで学びも多かったと聞いています。今年4月からは現場に復帰させるつもりです。
中塚 2021年の売上は、2019年比で国内旅行が70%、海外旅行が20%、全体で50%を想定しています。希望的には、国内については今年後半に100%に戻って欲しいと思っています。収支的には、全社員の給与20%カットを7月までと計算して、2021年度はプラスマイナスゼロを想定しています。
2019年レベルに戻るのは国内が2022年。海外は今年秋ごろから回復し、2023年頃になるのではないでしょうか。海外については、よく言われているように、出張需要がコロナ前の水準には戻るとは考えづらく、人数ベースでは厳しい状況が続くと思います。また、業界にとって大きな問題は、コロナによって現地の日本語ガイド、ドライバー、通訳などの離職が多くなっていることです。こうした現地スタッフを確保するためにも、価格は高くならざるを得ないと思います。
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