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【コラム】オリパラの開催、貴方の賛否は?

私は開催を望みません。

 緊急事態宣言は延長されており、変異種も発生、更には一般人へのワクチン投与時期さえ今日現在未確定の状況でオリパラの開催を望みますか?マスメディア等の直近の調査ではおよそ7割の国民が中止又は延期すべきと回答しています。

 観光産業はオリンピック開催により、恩恵を受ける産業の一つと一般的には認識されていると思いますが、我々当事者がどう思っているかは残念ながら殆ど発信されていません。もちろん、観光産業内には賛否両論ある筈ですが、少なくとも産業の総意としてオリパラの開催を強く望んでいるとは私は思っていません。

 全国民の努力や我慢により、ようやく感染状況が好転する兆しを見せており、ワクチンの供給・接種に関する具体的なニュースを耳目にする事が多くなって来た今、夏場、悪くとも秋口には一定の旅行需要が回復する事を期待している方が多いと思われます。オリパラの開催が観光産業のみならず、日本経済にとってプラスの面ももちろんあると思います。またスポンサー企業やオリパラ開催を見込んで投資や準備をされてきた方の一部は当然、開催を強く望むでしょうし、それを否定するつもりも有りません。

 しかし、この状況で開催を強行し、もしも感染の拡大や海外からのお客様に多数の罹患者がでるような事があれば、世界の日本に対する評価は下がり、また日本人の中でもリスク回避の心境が強まり、旅行需要の回復も更に遅れる事になるでしょう。観光産業内にはそれらを危惧し、オリパラ開催を望まない方も相当数居られるのではないでしょうか。

 私の観光産業外の友人・知人の大半は、観光産業は極めて厳しいから、産業の総意としてオリパラの開催を望んでいる、今は中断されているけどGoToで産業全体がかなり助かったと思っています。観光産業は裾野の広い産業で、様々な形態、規模の事業者が存在します。形成出来る唯一の総意・願いは「コロナの収束」、その他に関してはそれぞれの業態や規模、個々人の価値観等によって当然ながら様々の筈です。

 この事実と、多様な意見、事業者によって置かれている状況の違いを積極的に発信していかないと、世間の認識と産業の実態との乖離はますます大きくなるばかりです。泣き言や恨みつらみは無益ですが、現実・実態は当事者が発信しない限り世間の知るところとはなりません。私の当コラム含め、1人の発信は無力ですが、数が増えれば世間の目に留まります。ぜひ皆さんのご意見をお聞かせいただきたいと思っています。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、31周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事