噴火から1年のハワイ島、新素材で回復へ-固有植物など持続可能性にも注目

「溶岩に飲み込まれた街」、逆転の発想で観光地に
ハワイ島固有の植物や動物など自然も堪能

ノスタルジックなヒロと日系移民の街ホノカアを巡る

レインボーフォールズは午前中のほうが虹を見られる可能性が高いという

 さらに視察では、レインボーフォールズやヒロ、ホノカアの街も訪れた。ヒロはハワイ島の政治や産業の中心地で、フラの祭典メリーモナーク・フェスティバルが開催されることでも有名。イロミア天文学センターや島内最大規模のファーマーズマーケットなど見どころは多い。

 ヒロの街から車で10分ほどのレインボーフォールズは、その名の通り時間帯によって虹が見られるが、古くからの神話で、この滝壺の奥の洞窟に住んでいた月の女神ヒナとその息子マウイが、トカゲを退治する話なども有名。

滝の横には月の女神ヒナと息子のマウイがトカゲを退治する神話が読める

 またハワイ島の生まれといわれるカメハメハ大王像がヒロのワイロア川州立公園に建てられている。この像は当初カウアイ島のホテルに建てられる予定だったが、カウアイ島はカメハメハに武力で制圧されておらず、住民からふさわしくないと反対されハワイ島へ持ってきたという。なお、カメハメハ大王像はヒロのほかに、ホノルル、ワシントンDC、ハワイ島の北側のカパアウに建てられているが、ヒロにある像が最も新しい。

1997年に建てられたヒロのワイロア州立公園のカメハメハ大王像

 ホノカアは日系移民の街で、映画「ホノカアボーイ」でも舞台になった場所としても知られている。街の建物には日本人の名前が掲げられており移民の歴史を感じることができる。ホノカアで外せないのは1930年に建てられたホノカア・ピープルズ・シアター。内部は当時の雰囲気そのままでノスタルジックな雰囲気を感じることができるだろう。

 研修に参加した旅行会社からは「ヒロは星空、火山に変わる素材候補の一つ。日系移民の歴史が見られるので特にシニアには受けるかもしれない」として期待しているが、ここ数年はヒロを観光する日本人は減少傾向にあるという。

シアターの中には当時の映写機が展示されており、どこか懐かしさを感じるノスタルジックな雰囲気

 この理由としては「公共交通機関が少ない上にFIT化が進み移動が困難」との声があり、これに対してHTJは来年に「コナとヒロを繋ぐ」施策を予定。昨年実施していたイブニングシャトルのような移動手段ができれば、旅行会社には強力なバックアップとなる。別の大手旅行会社からは「あまりレンタカーを利用しない女子旅にも訴求できる可能性がある」として、新しい顧客層の獲得も期待できるとする意見も聞かれた。

取材協力:ハワイ州観光局