噴火から1年のハワイ島、新素材で回復へ-固有植物など持続可能性にも注目
「溶岩に飲み込まれた街」、逆転の発想で観光地に
ハワイ島固有の植物や動物など自然も堪能
ハワイ島の固有植物を観察-責任ある観光に貢献を
また、視察ではハワイの在来植物を観察するエコツアーにも参加。このツアーはハワイ島で一般的な乗馬やスノーケリング、ハイキングなどで自然を楽しむツアーではなく、動植物の生態や、人と自然の関わりなどを通して自然の保護や保全への関心を高め、持続可能な観光をめざそうとすることが特徴。
訪問したのはハワイ固有の植物が多くあるキラウエアの熱帯雨林で、ここは1990年代の初期から保護されている場所。森林の周りをフェンスで囲うことにより、動物による食害が発生しないようにし、また鳥が運んでくる外来種によって固有種が侵されないように管理しており、オヒアレフア、イリヒア、コアの木などの固有種はもちろん、シダの木の「倒木更新」などハワイ島に元々あった森林の姿を見ることができる。
ハワイの花というとプルメリアやハイビスカスなどの華やかな花が思い浮かぶはずだが、実はいずれも西洋人が持ち込んだ花。ガイドによると「元々は地味な花や植物が多い」という。例えばハワイのセイヨウヒイラギは葉がギザギザと尖っていなかったり、固有種のミントには香りがないといった特徴があり、これは害を与える植物や食べたりする動物がいなかったためだそうで、植物の進化についても目の当たりにすることができる。
なお、こうした特徴は間違いなく「ならでは」の魅力だが、環境保全のためには必ずしも多くの観光客を受け入れられないとガイドは説明。例えば勝手に花や葉を採る、あるいは靴の消毒なしに森林に入るだけで環境へのリスクは高まってしまうためで、今回のツアーも案内が行き届く少人数の団体に限定しているという。
またガイドからは、自然を見て楽しむだけでなく、エコツアーを通してハワイの文化や人々への配慮や、自然の保護や保全への関心を高めてほしいとの希望も聞かれた。こうした考え方は、ハワイ州が推奨する「レスポンシブル・ツーリズム」にも通じるもので、旅行業界としても今後は積極的な配慮が求められていくだろう。