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民泊検討会、家主居住型は届出制に-不在型と仲介業者は登録制

  • 2016年5月16日

検討会の様子  観光庁と厚生労働省は5月13日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の第10回会合を開催し、前回の会合で事務局が提示した民泊サービスの制度設計に関する骨子案について引き続き議論した。事務局はこの日、宿泊提供者は家主居住型の場合は行政に届け出、家主不在型の場合は登録をおこなう案を提示。仲介業者については前回会合と同様に行政に登録する案を示し、委員から特段の異論はなかった。宿泊提供者の届出と登録の手続きはインターネットを活用して簡易なものにし、仲介業者の登録は海外の法人にも求める考え。

 同案では民泊サービスを「既存の住宅を活用した宿泊の提供」とし、旅館業法外において「一定の要件」の範囲内で、有償で反復継続するものと定義。家主居住型の民泊サービスについては個人が物件の管理をおこなうため、参入しやすい届出制とした。その一方で、家主不在型は物件の管理を家主から委託された管理者がおこなう分、事業性が高いと判断し、不備や問題があれば行政サイドが登録を拒否できるよう登録制に。手続きを受け付ける「行政庁」や、要件などの詳細は今後検討することとした。

 受け入れに関しては居住型・不在型ともに、利用者名簿の作成や備え付け、利用者に対する注意事項の説明、民泊と分かる標識の掲示などを求めることで、安全性や衛生を確保するとともに、匿名性を排除する。また、不在型については、住宅の提供者と管理者が一致しない場合などの責任の所在を明確化するため、管理者の業務として近隣からの苦情の対応業務を含めた。なお、居住型・不在型を問わず、違反があった場合には業務停止命令や登録の取消処分などの措置をおこなうことを検討する。

 仲介業者については行政への登録をおこなうことに加えて、取引条件の説明義務や、「新たな枠組みに基づく民泊であること」をウェブサイト上に表示する義務を課すことなどを検討する。また、インターネット上に限らず駅前の掲示板など、何らかの場を介して宿泊提供者と宿泊希望者を仲介し、手数料などを徴収する事業者についてはすべて「仲介業者」と定義し、仲介業者ではなく「プラットフォーマー」を自称するAirbnbなどのような事業者も規制対象となる制度を構築する。

 このほか、事務局は「一定の要件」について、これまでの議論を踏まえた上で、年間営業日数による制限を設けること、1日あたりの宿泊人数や延床面積制限などについて引き続き検討することなどを提案。営業日数については委員から「民泊をビジネスとして考える場合、制限を設けていては成り立たない」という意見が挙がった一方、「日数制限は必要であり、ビジネスとしての採算性を求めるのであれば、簡易宿所の営業許可を取得すべき」とする声なども挙がった。次回の会合は5月23日を予定し、制度設計についてさらなる議論をおこなう。