観光庁と厚労省、民泊ルールの検討開始、来夏にも報告書
観光庁と厚生労働省は11月27日、国内での民泊を取り巻く諸課題について検討し、ルール作りをおこなうための有識者会議「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」の初回会合を開催した。今年6月30日に閣議決定された「規制改革実施計画」で、関係省庁において検討し16年末までに結論を得ることが目標とされたことを受け、早ければ来夏にも報告書をまとめる。
自宅の一部やマンションの空室を活用して宿泊サービスを提供するいわゆる「民泊サービス」については、14年4月に旅館業法の適用を除外する国家戦略特別区域法が施行され、東京の大田区などで実現に向けた取り組みが進んでいるところ。しかし一方ではルールが整備されないまま、違法な宿泊を提供する業者も発生しており、社会問題化が進みつつある。
同検討会の構成員は大学教授、弁護士、不動産業界団体や消費者団体の役員などからなる16名。観光業界からは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長の北原茂樹氏がメンバー入りした。そのほか、行政からは神奈川県副知事の吉川伸治氏、相模原市副市長の梅沢道雄氏が参加。座長は東京大学大学院工学系研究科教授の浅見泰司氏が務める。
この日の会合では冒頭で、関係省庁が民泊を取り巻く現況や関連法などの概要について解説。観光庁は近年の宿泊需給について報告し、旅館や大都市圏以外のホテルについては依然として余裕がある一方で、大都市圏のホテルについては「供給が間に合わない状況」と説明した。そのほか旅行業法の概要についても紹介し「個々の民泊行為が旅館業に該当する場合、仲介事業者は旅行業法に基づく登録を受ける必要がある」と強調した。
旅館業を所管する厚生労働省は、ホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4形態における設備などの規制の違いや、特例としての農家民宿および特区で認める外国人滞在施設の概要などについて解説。そのほか、国土交通省住宅局は建築基準法における防火や避難に関する規定、消防庁は住宅を民泊として活用する場合に必要となる消防用設備などについて説明した。
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