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「新結合」でイノベーション、異業種とのコラボも-JATA経営フォーラム

  • 2015年3月19日

新たな要素の組み合わせで新たなビジネス
働き方の見直し、カウンター販売にとらわれない発想を

「新結合」でイノベーションの実現へ
異業種の視点をなど活用

 井上氏によると、こうしたイノベーションを実現する鍵は、「新結合」である。これは、「いくつかの要素を全く新たな組み合わせで結合し、新たなビジネスを創り出す」というシュンペーターの理論を表したキーワード。イノベーションに際しては、「どれくらい新結合を意識できているか」が重要だという。

 例えばレゴ社の事例は、プライベートでレゴ作品を制作していた社外の建築家との協働による企画だ。この建築家のように自らも消費者である人は、プロフェッショナルでもありコンシューマーでもあることから「プロシューマ―」と呼ばれ、イノベーションのきっかけになりやすいという。消費者としての実感から自分が満足するための商品をつくりだす、いわゆる「ユーザー・イノベーション」という手法だ。井上氏は、旅行業界には自らも旅行者であるプロシューマ―やユーザー・イノベーションに適した人材が多数いるのでは、と問いかけた。

 また、井上氏は「プロセス・イノベーションだけをがんばっていても顧客には直接影響がない」ため、視点を第2、第3のイノベーションへと変えていく必要があると語った。さらに最新の潮流として、ロンドンビジネススクール教授のゲーリー・ハメル氏が提唱する「イノベーションの5階層」に基づき、より長期的な視点に基づいた第4、第5のイノベーションを説明した。

 第4は「構造的イノベーション」であり、社内や業界内だけでなく、外部の多様なプレーヤーを巻き込んだ、産業構造全体のイノベーションを指す。特に観光業では、行政や異業種を含めた視点が重要だという。

 第5は「マネジメント・イノベーション」で、「人間が働くその方法自体を新しくすること」だ。井上氏は例として、愛知県豊田市のトヨタ自動車本社内に、アニメ制作会社スタジオジブリの新スタジオが試験的に開設したことを挙げた。今まで触れ合う機会の少なかった外部の「異質なもの」との「新結合」の結果、トヨタ社ではアニメーターの色使いに車のカラーリングのヒントを得たという。

 井上氏はこうした例を踏まえ、マネジメント・イノベーションを実現する鍵として、「オープン(=社員を内にこもらせないこと)」、「ダイバーシティ(=女性や外国人、若者を含む多様な人材と多様な雇用形態を擁すること)」「スピード(=迅速なPDCAサイクルや経営判断を可能とすること)」の3点を提示した。