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旅行者の疾病・受傷時にとるべき対応を判例から学ぶ-日本旅行医学会より

  • 2014年12月2日

 日本旅行医学会は2014年11月16日、第7回日本旅行医学会東京大会を開催した。今回は旅行法分野に詳しく、国際旅行法学会(IFTTA)理事でもある金子博人弁護士を招聘。金子弁護士は、特に旅行参加者の罹患や受傷に対する旅行関係者の責任について、3つの判例からその判決を左右したポイントを解説し、今後の対策として取るべき対処についてのアドバイスを述べた。エボラ出血熱の感染が終息する気配が見えない中、土地固有の病気に対する責任に関する判例も紹介している。


判例1:土地固有の病気に対する責任

 金子弁護士がまず紹介した事例は、ツアー中にマラリアに罹患し、帰国後に発症した男性が、病院でマラリアだと診断されず、時間が経過して死亡したケース。男性の遺族はツアー主催の旅行会社に対し、マラリアの危険性を告知する義務とツアー後の注意喚起義務を怠ったとして損害賠償を請求した。エボラ出血熱の感染が問題となっているなか、「土地固有の病気に対する旅行業者の責任や、帰国後に対処した医療機関の責任は重要」と、取り上げた理由を述べた。

 この男性は旅行会社の主催ツアー「南部アフリカ3カ国旅情8日間」に参加し、ジンバブエのビクトリアフォールズ、ボツワナのチョベ国立公園、南アフリカのケープタウンとヨハネスブルグを訪問。帰国1週間後に発熱し、その翌日に医院に受診し、2週間ほど南アフリカを旅行したことも伝えていたがインフルエンザと診断された。

 その後の発熱は薬で解熱したものの、受診2日後に再度発熱し、その翌日には病院に救急搬送された。その際の診断はインフルエンザ脳症脳炎で、マラリアであると判明したのはその翌日。その日のうちに死亡した。死亡診断書の直接死因は「熱帯性マラリア」、原因欄に「蚊刺され疑い」、傷病経過に影響を及ぼした傷病名に「インフルエンザ感染症」とあった。

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