主催ツアーの安全安心、綿密な情報収集を-業界団体活用も
▽旅行会社のリスク管理、業界内のシステム活用を
旅行会社はリスク管理のため、さまざまな団体に加入している。シンポジウムでは、旅行会社がリスク管理のために加入している団体についても説明。菅野氏は、株式会社ジャタと日本アイラックが中心となって運営している「JATA海外緊急重大事故支援システム」を紹介した。これは、申し込んだ旅行者が海外旅行中に重大な事故に遭遇した際、緊急対応支援チームを組織し、事故処理のスムーズな対応を手助けするというもの。事件や事故の際、対策本部の設置や家族の現地派遣、関係省庁との連絡などの支援を受けることができ、マスコミ対策もサポートしてくれるという。
菅野氏は「以前このシステムの支援を受けた旅行会社は、『マスコミ対策をサポートしてもらえたおかげで事故対策の本来的な業務により多くの力を注げた』とメリットを挙げていた」とシステム活用の利点を話した。
また、今回のシンポジウムに登壇したパネラーとモデレーターが所属する、近畿日本ツーリスト、グローバルユースビューロー、ユーラシア旅行社の3社は、いずれもフロンティアツアー・リスクマネジメント会のメンバー企業だ。
同会は、シニア対象の秘境ツアーなどSITを取り扱う旅行会社8社が参加し、情報共有や関係者のネットワーク構築のために2003年に設立した勉強会。当初は毎月2回の会合を開き、現地事情に関して情報交換を実施してきており、現在も2ヶ月に1回のペースで会合を重ねているという。また、発足以来、継続的に外務省の邦人保護課や在外公館とのパイプを築いている。
シンポジウム参加の3社はいずれも同会の存在価値を高く評価しており、柴崎氏は「発足から10年経っても会合を定期的に開催し、有効に機能していることが、その価値を証明している」とアピールした。