インタビュー:ヒルトン・ワールドワイド代表取締役のソーパー氏
初の外資系ホテルとして日本進出50周年
日本の重要性は変わらず、イン/アウトで事業拡張へ
-日本の海外旅行市場の現況に対する認識と、今後の見通しをお聞かせください
ソーパー 日本のアウトバウンド市場は、経済に影響されやすい。日本経済が厳しい時には海外旅行が減少して国内で休暇を過ごす傾向になるし、景気がいい時は海外旅行が伸びる。ここ数ヶ月の円安の進行はマイナスに作用することは否めないが、主要客層である50代、60代のシニア層は、景気の動向にあまり左右されないことも考慮に入れる必要がある。一方で、円安はインバウンドにプラスの効果があり、レジャーのみならず、法人部門にも期待が持てる。景気に対する信頼感が高まると円安と相まって、日本での事業を増やそうと日本への投資活動が積極化し、日本への渡航が増えて滞在も増える。このような動きが3、4ヶ月の間に見受けられるようになってきている。
-今後の開業計画ですが、他のインターナショナルチェーンのホテルとの競合の中で、ヒルトンではどのように進めていますか
ソーパー 現在、全世界で開業準備中のホテルは990軒あり、今後3、4年のうちにオープンする予定だ。ヒルトンはスーパーラグジュアリーのウォルドーフ・アストリアからエコノミータイプのハンプトンまで10のブランドがあるのが強みで、他ホテルとの競争に正しく対応していくため、適切なブランドを適切な場所に、そして適切な時期に展開する戦略をとっている。特に活発な動きがあるのは「BRIC」(ブラジル、ロシア、インド、中国)の4ヶ国だ。市場として成熟度の低い国が発展の度合いが強い。新規開業の動きが薄れてしまうのが欧州やアメリカなどの先進国だが、積極的な開業準備計画はある。
-日本での予定はありますか
ソーパー 日本の開業予定は990軒のうち1軒。日本では現在、東京、名古屋、福岡など7都市にヒルトン、コンラッド、ダブルツリーbyヒルトンの3つのブランドで計10軒を展開しているが、さらに2014年7月にヒルトン沖縄北谷(340室)をリゾートプロパティとして開業する予定だ。
また、5軒で改装計画がある。たとえばヒルトン東京では昨年、宴会場と会議場の改装を終え、間もなく220室の改装が完了する。2014年にはさらに400室の改装を実施し、5つのレストランも刷新する。また、昨年12月に取得した小田原では投資額27億円の大規模な改装を計画している。全客室と公共スペース、ホテル施設の裏側も含むもので、2013年末には着手したい。
私は日本を担当するものとして、開業予定のヒルトン沖縄北谷をきちんと手掛けていくのが使命だ。さらに、新規開業を増やしていくべく、ヒルトンの10のブランドに適した市場を積極的に模索していきたいと思っている。