インタビュー:ヒルトン・ワールドワイド代表取締役のソーパー氏

初の外資系ホテルとして日本進出50周年
日本の重要性は変わらず、イン/アウトで事業拡張へ

 ヒルトン・ワールドワイドは今年6月、日本進出50周年を迎える。1963年、赤坂に東京ヒルトンをオープンしたのが日本での事業の始まりで、日本における初の外資系インターナショナルブランドのホテルでもあった。翌年には日本の海外旅行が自由化となり、日本の国内旅行のみならず、アウトバウンド、そしてインバウンドでも、日本の旅行会社と長い関係を持つホテルといえる。同社で代表取締役を務め日本・韓国・ミクロネシア地区運営最高責任者のティモシー・ソーパー氏に、50年の歩みとともに現在の市場認識と今後の展望を聞いた。

-日本進出50周年おめでとうございます。まずは50周年を迎えた所感をお聞かせください

ティモシー・ソーパー氏(以下敬称略) どの会社でも50周年は重要な節目だ。ヒルトン・ワールドワイドは90年以上の歴史があるが、日本では最初に進出したインターナショナルブランドのホテルとして50年間展開し、日本市場とは情緒的な結びつきをも育むことができた。これにより、現在の強固なポジショニングがあると思っている。

 50周年にあわせ、1年間にわたり記念プロモーションやイベントを予定している。その一つが、50周年にちなんだ50の特別宿泊プランの提供だ。国内の10軒のホテルで、それぞれ5つの特別パッケージを1年間設定する。また、ソーシャルメディアを利用したキャンペーンや「50周年記念親善大使」に俳優の石田純一氏を任命し、記念すべき節目の年を盛り上げていく。さらに6月25日にはヒルトン東京で大々的な祝賀イベントを開催する。弊社は長期雇用の社員が多く、50年以上勤務するスタッフもいる。当日は従業員も巻き込んだ特別なイベントにする予定だ。

-日本の海外旅行は1964年に自由化となり、御社の日本でのビジネスとほぼ同じ歴史です。日本発アウトバウンドはどのように取り組んできましたか

ソーパー 1億2500万の人口を抱える日本は、アジアの中でも最大の市場の一つだ。いち早く日本に進出したことで日本でもネームバリューを勝ち得ることができ、多くの日本人海外旅行者を獲得できたと思っている。

 日本市場向けの努力もしてきた。その一つが1980年代に開始した「くつろぎプログラム」だ。日本語を話せるスタッフの配置、日本茶や浴衣の用意、和食の朝食など、日本人にとって重要な要素を盛り込んだサービス基準を策定し、それを満たすホテルを認証するプログラムで、日本人の利用の多いホテルを中心に積極的に展開した。