JATA、原発補償で説明会-補償期間など不満の声も

  • 2011年10月6日

 日本旅行業協会(JATA)は10月5日、会員向けに東京電力(東電)の原子力被害の損害賠償請求に関する説明会を催した。これは、東電が9月に発表した原子力損害の本補償に関する取り組みを受けてのもので、約170人が参加。説明会では東電福島原子力補償相談室が風評被害による賠償の請求方法やスケジュールを説明したほか、JATA顧問弁護士の林敬氏がJATAから東京電力への要望や、外国人観光客に関わる補償請求について述べた。

 東電が観光業者の風評被害の賠償対象としているのは、福島、栃木、茨城、群馬4県に営業拠点がある法人および個人事業主。また、外国人観光客の予約解約に対する賠償については、上記以外の都道府県に事務所を持つ法人および個人事業主も含む。外国人観光客は、3月11日現在で予約があり、原発事故の影響で5月末までに解約があった場合が対象となる。

 説明会では自社のケースが損害賠償の対象か、賠償の請求が可能かといった質問が相次いだ。たとえば、栃木県など4県以外で風評被害による損害が出ているケースや、九州のクルーズが寄港中止になったことでツアーがキャンセルになったケースについて、申請の可否や方法について質問がなされた。林氏は、風評被害の賠償対象でないケースについては、東電が用意する「その他ご請求用」フォームでの申請を呼びかけるとともに、公的仲介機関である原子力損害賠償紛争解決センターの活用も示唆した。

 また、外国人観光客については、8月でも訪日外客数が31.9%減の54万6800人と回復が鈍いなか、「各国で安全宣言が出るまでは、風評被害が続くのでは」との懸念から、補償の対象が5月末までであることへの不満もあがった。さらに、企画、手配受注の証明となるものがないが、申請可能かという質問もあがった。東電によると、予約台帳やメールのやりとりなど、依頼された事実がわかるものであれば申請可能だという。