「社会から必要とされる会社へ」日本旅行・吉田社長インタビュー
日本旅行が2025年に迎えた創業120周年は、同社にとって単なる節目ではなく、「次の100年」に向けた再出発の年となった。吉田圭吾社長は、社長就任後初となる中期経営計画「2026-2030 新章」の策定と新グループ理念の構築を主導。「地域と生きる」という創業以来の思想を軸に、旅行事業の枠を超えた地域課題解決型企業への変革を打ち出した。この度のインタビューでは、グローバル人財活用推進事業や宇宙事業、店舗・流通構造改革、AI時代における“人”の価値などについて、今後の方向性を語った。
吉田圭吾氏(以下敬称略) 6月に前社長からバトンを引き継ぎ、非常に目まぐるしい一年でした。特に大きかったのは、中期経営計画と新たなグループ理念の策定です。「これから100年続く会社」に向けた土台を作るという思いで進めました。
中計は単なる5カ年計画ではなく、その後の100年にもつながるような考え方をベースにしています。策定にあたっては、これから会社を担う世代との議論を重視しました。全国を回り、私を含めた常勤取締役全員が現場に赴き、各地の社員の思いや意見を直接聞きました。その議論が今回の中計の根っこになっています。
吉田 引き継ぎたいのは、創業以来受け継がれてきた「地域と生きる」という考え方です。創業者は地域の人の要望に応え、困っている地域へ人を送り届けることで事業を広げてきました。創業当時の善光寺参りへの団体臨時列車などはその象徴的な事例であり、地域社会への貢献が日本旅行の原点だと考えています。
その思想は今後さらに強く意識していきたいと思っています。一方で、地域に提供するサービスの形は時代によって変わります。誘客・送客だけではなく、地域産業の支援、人材育成、施設運営、人材供給など、地域が必要とするものを前例にとらわれず提供していきます。
吉田 旅行はあくまで我々が持つリソースの一つです。例えば自治体の商品券事業や施設の指定管理、人材育成、地域産業支援などもすでに手掛けています。地方では人材不足が深刻化しているため、海外人材の供給にも取り組んでいます。旅行をベースにしながら、複合的なサービスで地域社会に貢献していく考えです。
吉田 地域の人手不足という社会課題への対応が大きいです。当社は登録支援機関として認定を受けており、全国ネットワークを活用しながら、外国人材の生活支援も含めた受け入れを行っています。単に人材を送り込むのではなく、日本の文化やルールを理解し、日本人と同じように働ける環境を整えることが重要だと考えています。
現在は特定技能人材が中心で、旅館・ホテルやJRグループ会社などへの供給が多いです。今後は技能実習制度にも対応していく予定です。
吉田 キルギスやウズベキスタンとは人材供給を通じて関係を深めています。キルギスの民族大学には「日本学院」があり、日本語教育も行われています。
中央アジアはロシアや中国の影響が強い地域ですが、日本への信頼感や興味は非常に強いです。そうした地域との交流を深めていきたいと思っています。
