「Cansell」から「Payn」へ、代表山下氏に聞くキャンセル料回収の課題とこれから
昨今人手不足の問題が多く取り沙汰されるなか、宿泊施設で長らく課題となっているのがキャンセルやノーショーへの対応だ。施設側はキャンセルポリシーに則り請求を行うものの、業務の煩雑さやトラブルに陥る場合もあることから泣き寝入りするケースもあるようだ。
そんなキャンセル料請求業務の自動化・省人化に取り組むのが2022年に創業したPayn。直近では、キャンプ場予約サイトのなっぷや食べログノート、JTBなど提携を広げており、予約が発生するあらゆる業界で同様の課題解決に挑む。同社代表を務めるのは、宿泊予約権売買事業「Cansell」の立ち上げ運営を行っていた山下恭平氏。宿泊業界を取り巻くキャンセルに関する課題や同社の戦略などについて聞いた。
山下恭平氏(以下敬称略) 代表を務めるPaynの創業は2022年3月。ホテルやレストランなど、予約が発生する事業者を対象にキャンセル料の請求・回収を簡単にできるSaaS型ツールを提供している。請求通知、請求書作成などを自動化できるもので、受信した消費者はメッセージから決済ページに遷移してクレジットカードなどで支払うといった流れ。
ポイントは、アナログな業務負担を大幅に軽減できること。キャンセル料の請求で電話をする場合は、逆にクレームを受ける可能性があるなど精神的負担も大きい。また、支払う側も手間が少なく、最短26秒で支払いが行われた実績もある。
自身スタートアップの立ち上げは2社目で、以前は「Cansell」という会社でキャンセルしたい宿泊の予約権を売買する事業を行っていた。Cansellでのサービスは非常に順調だったが、コロナ禍が想像以上に続いたこともあり力不足で終わってしまった。ただ、生涯起業家でいたいとの思いもあり、次のチャレンジを模索するなかで創業したのがPaynだった。
山下 宿泊業界のみならず、予約が発生する業態ではキャンセルの問題が蔓延っている。次なるサービスを検討する時に、自分自身の中で差分を生んでいける・世界を変えられる領域はやはりキャンセルに関することだった。正直、世界で私ほどキャンセルの課題に向き合っている人はいない。このサービスを始めることに迷いはなかった。
山下 全く同じビジネスモデルをやるかは検討が必要だが、可能性はある。今でもキャンセルの課題に向き合う企業としては、選択肢は捨てていない。