「Cansell」から「Payn」へ、代表山下氏に聞くキャンセル料回収の課題とこれから
山下 キャンセル、ノーショーによる宿泊施設側の課題としては実際に請求・回収に至っていないケースも多い。原因としては冒頭でも挙げたクレームに繋がることや業務もアナログで時間も掛かる。仮に請求書を送っても払ってくれない場合もある。
こうなると施設側も次第に諦めるようになり、消費者側もその状態に慣れてしまう。結果、消費者側のキャンセルに対するマインドも上がらず、ノーショーは減っていかない。悪循環が悪循環を生んでいるのが現状。この問題を解決するには業界全体で請求をしっかりやっていく必要がある。
山下 このサービスを進めていく中で、業界全体でしっかり請求していこうとのマインドの高まりは感じている。実際に当社サービスを導入いただく施設は口コミによる紹介が多い。このサービス自体ライバル施設が導入したとしても全く競争を生むものでなく、寧ろ業界全体が良くなっていくサービスでもあるため紹介に繋がっている。
山下 サービスを開始するにあたり当然色々なビジネスモデルを検討したが、やはりこのサービスの本質は回収できて初めてゴール。業務を効率化できたとしても回収できなければ使う意味がない。
仮に月額料金を設定すると、当社としては最悪使われなくても問題ないということになってしまう。施設側としても、月額料金は導入を悩ませることになり業界全体の課題解決からは遠ざかる。あくまでも業界全体の課題を解決するためにはどうすれば良いかを念頭に考え日々事業に取り組んでいる。
山下 はい。当社としても創業からのこの2年間は宿泊施設にフォーカスしていた。今後は宿泊以外の業態にも展開していく。
山下 全ての予約が事前決済になれば当社サービスは必要ないが、そうはならないと予想する。事前決済じゃないと予約ができないということは大前提ユーザーライクではない。確かに航空業界では事前決済が当たり前だが、これはプレイヤーが少ないからできること。ホスピタリティ産業となる宿泊業界では恐らく浸透しきらない。
決済の部分で言えばキャッシュレスが増えていくことは間違いない。ただ、キャッシュレスが伸びる話と、事前決済を行うか否かは全く別の問題と考えている。