ビールとTシャツだけじゃない、目指すはオリオンならではのライフスタイルホテル-オリオンホテル那覇総支配人 藤井幸氏、人事部ディレクター羽根田敏夫氏
羽根田 このインタビューを受ける前にスタッフから話を聞いてみたのですが、やはり「オリオンビールブランド」の強さが魅力のようです。私自身も沖縄に来て、こんなにも多くの観光客がオリオンビールのTシャツを着て街中を歩いているのか、ということに本当に驚きました。沖縄を代表するブランドとしての地位を確立し、支持されていることは、スタッフにとっても同グループのホテルで働いているということへの誇りとなり、そして魅力になっていると思います。
藤井 国際通りを歩くとよくわかるのですが、いつのころからか沖縄に来たらオリオンビールのTシャツを着ることが定番化しています。しかしながら残念なことにその方たち全員がオリオンビールを愛飲している訳ではありません。オリオンビールがホテル業を手掛ける理由はまさにそこにあるのだと思います。
当社にとってビール事業は一丁目一番地ですが、少子化やアルコール離れによる絶対消費量減少も避けがたい事実として存在しています。その点を別セグメントとして補完するビジネスであるとともに、ユーザーの声に触れられるマーケットリサーチの場としてホテルの存在価値があります。もっと多くのかたにTシャツを着て「THE ORION BEER DINING」店内のオリオンロゴ前で写真を撮り、ビールも味わいながら沖縄を楽しむ、そういう場所にしていかなければと思っています。
他方、地元のかたにも地元のビールを改めて楽しんでもらいたいという想いから、今年の7月から「BEER PASS(ビアパス)」というサービスを開始しました。予めパスを購入すれば、定番銘柄のオリオン ザ・ドラフト、オリオン ザ・プレミアムに加えホテル限定提供のオリオン ザ・クラフトの各ビールの中から1日3杯までお好きなビールを楽しんでいただけるというサービスです。パスの有効期限は60日間、沖縄に住んでいる方が対象になります。このように、地元の方たちには「新しい普段使い」を再発見して楽しめる魅力をアピールしていきたいです。
羽根田 那覇のみではなく、本部にある系列ホテルの人事、そしてバックオフィス機能を担っている私の立場としては、各ホテル間でノウハウを共有する文化を醸成したいです。今はどうしても2つのホテル間での交流が希薄になってしまっているので、相互のスキルや経験を共有して全体で向上させていく仕組み、人的支援を仕組み化していくことが当面の目標です。
藤井 今の沖縄はホテル業にとって非常に厳しいエリアです。国内入域者数はすでにコロナ前を上回って過去最高、これ以上はエアーの便数が大きく増えないかぎり増加は見込めません。海外は受け入れ体制の人員不足もありますが、沖縄のコンテンツが充実しない限り路線数の完全復活は難しいと考えています。
一方でホテル客室数は増加の一途をたどっています。供給が増えない以上、今後は旅行者の宿泊数を伸ばす施策が必要で重要です。ただしこれは外的要因で自然に増えることは考えにくいため、ホテルとしては「もう1泊してもらう」にはどうするかを考えないといけません。我々にしか使えない「オリオンビール」というブランドを最大限使うことで、お客様に選ばれるホテルになりたいと思います。
藤井 那覇にあるBACAR (バカール )。看板のピザはマルゲリータとマリナーラの2種類のみ、焼き立てを走って持ってきてくれます。ちょっとお値段高めですが本当に美味しく、那覇にきたら絶対にはずせないお店だと思います。