ビールとTシャツだけじゃない、目指すはオリオンならではのライフスタイルホテル-オリオンホテル那覇総支配人 藤井幸氏、人事部ディレクター羽根田敏夫氏

  • 2024年10月7日
-藤井様は、昨年の4月に総支配人に就任されましたが、総支配人としてご自身には何が期待されているとお考えですか。

藤井 リブランド前より「ワンランク上のホテルにする」ということでしょうか。以前は団体需要やビジネス・宴会利用がメインセグメントのホテルでしたが、オリオンビールというブランドを全面に出すことで今までとは違うポジショニングを実現することで業績、CS、ESすべての面において過去を上回ることが私のタスクです。

 現場経験がないぶん、過去のホテルでは数字をもとにした判断で業務改善や業績回復を行ってきました。ここはリニューアルオープンから1年弱、年間を通したデータがまだそろっておらず、従前のデータもコロナ禍の影響が含まれるため過去の手法を活かした判断ができていませんが、この部分の整備にさらに力を入れていこうと思っています。

 あわせてせっかく「オリオンビール」ブランドを冠しているホテルなので、もっと沖縄らしいユニークなことをしていきたいと思いますし、それが望まれていると感じています。ゆくゆくはオリオンビールらしさを活かした沖縄発のライフスタイルホテルに進化させていきたいと思います。

 また多様性やサスティナビリティ、ESGは企業として取り組まなければいけない課題ですが、それを「オリオンが解釈するとこうなる」というかたちに落とし込み、全オリオンビールグループの考え方を表現する機能を担うのが、オリオンホテルの役割のひとつでもあると考えています。その中にはホテル業界の常識には当てはまらないことがあるかもしれません。スタッフから見たら「おかしなことばかり言っている人だな」と思われるかもしれませんが、あまり過去にとらわれず違った視点でチャレンジしていきたいです。

-人手不足が叫ばれている業界ですが、オリオンホテルにおいてはいかがでしょうか?

羽根田 那覇のホテルで言うと、立地や交通の便、オリオンビールという企業への信頼性もあり、意外とそこまで深刻な人材不足ということはありません。瞬間風速的に足りないということはありますが、正直もっと人材確保が難しいと覚悟をしていました。一方、本部(もとぶ)のホテルでは、恒常的な人手不足が否めません。私が半年前に赴任した際も、会社から最初に告げられた課題が「まずは採用、とにかく採用」でした。

 ホスピタリティ産業なので、いかに良い人材を集められるかがホテルの発展には不可欠です。今は募集人数も多くはないものの、多くの人材の中から厳選して採用する方法をとりたいので、応募そのものの母数を増やすということに注力しています。

 また、沖縄エリアでの採用の在り方というものについては随分と試行錯誤をしました。様々な媒体に求人を出し、効果測定を行い、現在はいくつかの方法に絞って対応しています。例えば、特に調理の人材は縦と横のつながりが強いため、求人サイトの求職者リストにあまり上がってきません。そこで社外よりも社内の従業員のネットワークを生かしたリファラル採用に着目し、インセンティブ制度を充実させたインナーキャンペーンを展開しています。また、求人掲載サイトにおいてもIndeedのようなクリック課金型で広く打ち出しつつも、沖縄ローカルの求人サイトを活用するなど、職種や雇用区分に応じた使い分けを行っています。

-就業開始後の満足度も重要ですが、人事考課なども工夫されているのでしょうか?

羽根田 人事としては、評価制度や報酬制度に取り組んでいます。今期から評価制度を導入し、目標設定、行動評価の2点で昇給、昇格、賞与を決めていきます。目標設定に初めて取り組むスタッフが多いため、定量的なものに偏り過ぎたり、逆に曖昧な目標になったりすることが散見されます。また、同じ役職でも部門により目標の難易度にばらつきが生じることがあるため、その点を整備し、公正かつ公平な評価制度を構築するための基盤作りを進めています。

 正直なところ、入社した当初に目標の数と内容を自分で設定させるという方針ということを聞かされ、評価制度の導入初期としては逆に難易度が高くなっているのでは?と心配もありました。その点は藤井総支配とも相談しながら、中間面談での軌道修正と来期に向けたブラッシュアップで少しずつ改善はしたいと考えています。

-外国人のスタッフは何名ほど働かれていますか?

羽根田 那覇のホテルで7名ほど、本部のホテルも併せると合計23名くらいです。技人国ビザが1名、その他は技能実習や留学生です。本部のホテルでは、11月から技能実習生が新たに14名入ります。皆さん当ホテルグループでの就業を希望しており、今後も優秀な方であればビザの種類は問わず門戸を広げていきます。