「中小事業者が連携し声を上げる場を」TIFSが発起総会、新規会員も積極募集
コロナ禍により甚大な影響を受ける観光産業内の中小事業者、個人事業主が中心となり、7月に設立された「観光産業を構成する中小及び個人事業主連合会(TIFS)」がこのほど、発起総会を開催した。総会はオンラインで行われ、約50名が参加した。
TIFSでは観光産業の発展に向けた政策提言や会員間での協業・共創、福利厚生の充実などを当面の目標とし、将来的には各種保証金制度や新たな認証制度の創設も視野に入れる。会長に選任された岡田直樹氏は、「観光産業はコロナ禍を何とか凌いできたが、本当の正念場はこれからだ。早晩雇用調整助成金はなくなり、借金の返済が始まるが、需要が一気にコロナ前の水準に戻るわけではない。また、需要が戻れば運転資金や投資資金が必要となるが、コロナ禍で傷み切った状態で新たな借り入れを行うことは困難で、人手不足や仕入れの高騰、供給不足も懸念される。TIFSはこうした個々の努力だけでは解決できない問題に取り組むことを目的に設立された」と発足の趣旨を説明。また、「最終的に目指すゴールは、横串の刺さった中小および個人で構成される観光産業団体として、健全かつ公正な観光産業の発展と、会員の利益に資すること」だと述べ、「TIFSの活動で結果を出すためには、数と行動が不可欠。積極的な活動への参加、会員増への協力をお願いしたい」と呼びかけた。
会員制度と役員構成
TIFSの会員には正会員、賛助会員、準会員の3種類があり、観光産業関連の中小企業経営者および個人事業主のほか、航空会社やGDS、ホテル向けソリューション提供会社、経営者・事業主以外の観光産業従事者、産業外識者、業界OB・OGなど、幅広い参画者を受け入れている。事務局長の村田洋一氏は、「観光産業を構成するあらゆる業種が集まることで、産業全体として何が問題なのかがはっきりし、様々な業界の声を集めて提言できることが一番の魅力」という。
正会員の会費は通常月額3000円(税別)だが、今年12月までに入会した場合は、23年6月までの会費を5000円(税別)としている。
役員構成は下記の通り。なお、参与、事務局、監事以外の役員への報酬は当面なしとし、正会員には月次収支を、賛助・準会員に対しては期末総会にて収支を発表することで透明性を維持し、「信頼される組織運営を目指す」(村田氏)という。
TIFS役員(敬称略・順不同)
役職 | 氏名 |
---|---|
会長 | 岡田直樹(エフネス) |
副会長 | 横山公大(オルトル) |
理事 | 三井紀代子(貴凛庁) 山本龍二(D.T.I.ツアーズ) 櫻井亮太郎(ライフブリッジ) 小野田金司(大阪観光大学観光学部 教授/アドバイザー) |
政策担当参与 | 中山隆央(ENJOY JAPAN) |
人材活用担当参与 | 春山哲朗(ハンディネットワークインターナショナル) |
事務局長 | 村田洋一(ビュート) |
広報責任者 | 落合なつ希(エフネス) |
監事 | 渡邊勇教(公認会計士) |
国会議員への陳情、官公庁との意見交換の早期実現へ
年内の活動については、「政府による真水支援」「Go Toや県民割等の事務局収支(委託費の支払先会社名・金額含む)開示要求」「政府による旅行解禁宣言発出」の3点を柱とする考えだ。「まずは問題点を正しくエスカレーションする役割をTIFSで担いたい」(村田氏)といい、できるだけ早い段階で政権与党の国会議員への陳情、官公庁との意見交換の実現を目指す。また、会員間の交流を促進し、意見を集めるイベントも実施していく。
なお、現在TIFSは任意団体だが、2023年7月を目途に一般社団法人化を目指している。
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