JTBの「無人店舗」とは?-テレビ電話でリモート接客、地方展開も

「ウェブ」と「リアル」の中間ねらう
リモート接客で募集型企画旅行を提供

▽リモート接客に細かな工夫、スタッフが席を外す機会も

リモート接客用のスペース。木の仕切りで囲みを設けた リモート接客用のスペースには、テレビ電話システムでコールセンターのスタッフの顔を見ながら相a談ができるモニターと、パンフレットや旅行関連情報を表示するモニターをそれぞれ用意。矢澤氏は「事前にテストをする中で、1つのモニターでスタッフの顔のみを見続けるのは疲れることがわかった。そもそも通常の接客でも、ずっと顔を見続けて話すことはない」と語り、あえて別のモニターを用意し、参考資料などを掲示することで、店頭カウンターのような自然な流れで相談できるような環境を整えたことを説明した。ちなみに、参考資料は印刷できる。

 スタッフが映るモニターについては、スタッフを映さず、お客様の話も聞こえなくする「一時離席」機能も用意。スタッフがいない状況で、値段面やプランなどを消費者だけで本音で話し合い、スタッフに気兼ねなく旅行を決められるようにしたという。

 リモート接客サービスは事前予約制だが、実際は当日来店して相談したいという場合が8割を占める。当日来店の際は、案内係が旅行のニーズなどを簡単にヒアリングし、あらかじめコールセンターに伝えることで、相談をスムーズにできるよう工夫しているという。


▽1年間のテスト運営、他業種とのコラボ検討

矢澤氏 今回のラウンジはJTBにとってテストとの位置付けで、ラウンジを1年間運営してマーケティングデータを集めて検証したうえで今後の展開を決める予定だ。矢澤氏は「いろいろな可能性がある」とした上で、今後はコールセンターのスタッフだけでなく、添乗員やJTBの海外支店のスタッフなどとテレビ電話で話せるような仕組みを検討していることを説明。「お客様がJTBのあらゆるスタッフと繋がる仕組みを作りたい」と意欲を語った。

 同氏は「リモート接客サービスがおしゃれ、格好いい、という感じでお客様に使ってもらうようなムーブメントを作ることが大切」とし、そうしたムーブメント次第では、普通の店で混み合っている時間にテレビ電話でのサービスを提供する可能性もあるとした。

 このほか、今後は旅行グッズや地方公共団体など協力したイベントなどを検討。イオンモールいわき小名浜のすぐ近くに小名浜港があり、同港にクルーズ客船も寄港することから、クルーズ特集も検討の余地があるとした。

 今後の店舗展開については「人件費的に通常の店舗の開業が厳しい、地方での展開などがありうる」とコメント。ショッピングモールなど、ある程度消費者が回遊するような仕組みのある場所への出店の可能性を語った。